193自動化ありきではない
導入コンサルティングや自動化ライン設計などのサービスは、N社グループの工場でのロボット活用ノウハウに基づいて、同社の専門家が直接手掛ける。ロボットSIでありながら、必ずしも“自動化ありき"ではないのが特徴だ。
「ロボットで自動化する前に、工程そのものを改善する」(N社)。工程を改善せずに自動化を進めると、無駄や品質不良の原因なども残ったままとなる上に、自動化してから改善するのは難しいからだ。
そのため、事前検討段階でまず工程改善に取り組む。その結果として、ユーザー企業が当初考えていたほどは自動化しないという判断に至る場合もあり得るという。N社は、「ロボットとは直接関係ない工程改善まで手掛けるコンサルティングサービスは、既存のロボットSI事業者にはなかなかできないはず」と胸を張る。
工程改善に時間をかけるものの、前述した通りロボットシステムは標準ユニットの組み合わせで構築できる。そのため、事前検討以降の「企画構想」から「テスト」までの期間を大幅に短縮できるという。
以上、日経クロステック 特集2 2019.09.30 から一部抜粋
上記に類似した経験について下記に記載します(ブログ№126の一部再掲)。
以前、携帯電話製造のサブ組立ラインの自動化に取り組んだことがあります。そのラインはメイン基板にフレキシブルプリント板を接合するラインでした。接合作業は大型の専用設備で行いますが、部材の供給、接合後のメイン基板の取り出しは作業者が行っていました。
ご存じのように、携帯電話は多品種対応となるため、専用設備の接合部のアタッチメントを機種に合わせて交換する必要があります。これも作業者が行います。さらに、10本程のメインラインに対して、専用設備を有するサブラインは2ラインしかなかったので、サブラインへの部材集約はもちろん、メインラインへの分配も煩雑となっていました。
当初工場側は、この専用設備への部材供給と専用設備からの部材の取り出しをするロボットを増設する予定でした。この作業に当たっては、6自由度のロボットが必要であることは、作業分析からわかっていましたが、多品種に対応したハンドリング、部材の配置のばらつきなど、難易度の高い課題が山積みでした。
そこで逆に、このロボットが持っている機能に合わせて、供給トレイの見直し、レイアウトの見直し、作業動線の見直しなど、サブラインの見直しをしました。当初サブラインの運用は作業者7名で行っていましたが、見直しをかけることによって、ロボットがなくても3名体制で運用できることが分かりました。
結局、ロボット導入は見送られました。ロボット視点でラインを見直すことで、ロボットを入れずしてコスト削減ができました。これも自動化推進活動の1つと言えます。自動組立の世界的な権威者である牧野先生の言葉です。「自動組立は組立の自動化ではない。組立を自動化するために何かをすることである」
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