187インダストリー4.0とIoT
「インダストリー4.0とは、日本と同様に人口減少に直面するドイツが、“どうすればドイツの製造業の強さを確保できるか”を目的にブレークスルーを模索する取り組みです。それには、インダストリー3.0と定義される“コンピュータの活用で産業の活性化”には限界があると判断したことによります。」~中略~「その技術の核は、IoT(Internet of Things:もののインターネット)です。グローバルスタンダードやディファクトスタンダード(先行開発し、市場へ投入された商品がその業界の標準となる意味)を巡る競争が激化すると予想される中で、生産技術力の再構築が求められています。」日刊工業新聞社発行「トコトンやさしい生産技術の本」坂倉 貢司著より。以下に、過去に経験したIoTに関係する取り組みについて記載します。
以前、異常予兆検知のAIシステムを導入するために、現地調査からフィージビリティースタディーを1年かけて行ったことがあります。異常予兆を検出するためには、まず十分な製造データ、プロセスの条件データと、その結果出来上がった製品の品質レベルがどの程度になるかの結果のデータが必要になります。過去に遡ってそれぞれのデータが、時系列または製造ロットと紐ついていることが必要となります。その紐ついたデータを機械学習することで、予測モデルを作り、その予測モデルに直近の製造データをインプットすることで、実際の結果が出る前に、品質のレベルを予測します。(異常の予兆を検出します)。詳細は本ブログ№104~№116を参照してください。
自動化設備や製造工程の状態をセンシングした情報を一元的に集約する場合、最初にぶつかる問題の一つとして、データ形式、フォーマット形式があります。
もともと、設備はそれぞれの主目的のため(位置決めのため、搬送のため、一定温度に保つためなど)に存在しているのであって、そこから生成されるデータはどのように使うものかを明確に示していません。ましてや標準化された統一のフォーマットに則って生成されているものは、ほとんどないと思います。
そこで各設備から生成されるデータを統一する、ゲートウェイといったソフトウェアが市販で提供されています。一般的には、各設備から生成されたデータは、このゲートウェイを通ってデータベースに格納されます。そのデータを使って各種の分析、解析を行います。しかし、この市販のゲートウェイは限られたメーカーの設備でないと、データを変換して統一フォーマット化できません。現状製造ラインで稼働している旧式の設備の場合には、設備ごとにゲートウェイを作る必要があります。工場の情報システムの部門で対応できる場合は問題ないと思います。
№062のレトロフィット技術の中で紹介したAMR(アナログメーターレコグナイザー)を使うといった考え方もあると思います。AMRは旧式設備のアナログメーターをカメラで撮影し、デジタルデータ化して統一データ形式で出力します。それがどのメーカーの円形針メーターであっても、7セグ表示器であっても、フロートメーターであっても同じ形式で出力されます。言い換えれば、設備メーカーや、設備の新旧に依存することなく必要なデータを収集すれば、統一データ形式でデータベースに格納できることになります。ゲートウェイの機能は必要なくなります。
ものづくりの現場においてシステムを構築する場合、ものづくりに必要な本来の機能性能をシステム化することはもちろん大切です。スマートファクトリーでは、それに加えIOT、AIをシステム化することも重要です。
また、ものづくりの現場にIOT、AIを導入する際に、まだ先が見えていない国際標準に準拠するかディファクトスタンダードに準拠するかを気にするする前に、自社内での標準化を進める必要があります。社内で最初に実績ができたケースを標準として横展開することが重要だと思います。将来的に国際標準、ディファクトスタンダードが必要な場合は、自社標準を変換するだけだと思います。
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