177ロットとの紐付け

 IoT化が進むとデータ解析へ向けてのデータ処理の流れを作る必要があります。ロットと紐付けについて、住友金属鉱山㈱ 佐藤健司氏の「製造業におけるIoTから(データ解析)に繋げる為の技術者教育と組織の作り方」といった記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその一部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 内部ロットと正式なロット番号との紐付け:生産ラインが正式なロット番号を入手する前に生産が始まることが往々にしてあるので、生産ラインはユニーク性が担保された内部ロット番号を独自に採番する必要性が発生する。見える化やデータ解析の前に内部ロット番号を正式ロット番号と紐付けする必要がある。もし、見える化する際に正式ロット番号と紐付けできていない場合も想定して表示の方法を検討しておくべきである。

 ログデータ処理問題:時系列的に採ってしまったログデータとロットを紐付ける作業には問題が発生することが多い。異常時に順番が変わったり、時刻間隔が変わったりすると紐付けを行うのが困難になる場合がある。一度紐付けた情報が間違っていることが判った時、過去に遡って修正を掛けることは多くの困難を伴う。あちらこちらで部分集計を行っているであろうから、それら全てを修正しなければならなくなるからである。ログデータに含まれる時刻精度を必要誤差以内に保つには、ログデータを出す機器に時刻同期の機能が必要になる。

<経験と見解>

 以前、プリント基板製造のデータ活用に関するフィージビリティースタディーに取り組んだことがあります。メッキの品質不良を改善するといった課題に対して、仮説を立て、データを収集し、データを分析して品質異常を予測するというものです。対象となる工程はスル―ホールのメッキ工程です。多層プリント基板の層間をつなげるスル―ホールの内面にメッキを施す工程は樹脂、金属パターンが積層されており、無電解メッキ後に電解メッキを行います。

 電解メッキの場合、数十ⅿにおよぶメッキ槽の中をプリント基板が次々と定速で移動していきます。槽の先頭からは数十㎝間隔で電極が搭載されています。メッキの初期段階から最終段階までメッキの生成プロセスに合わせて、各電極の電流値が設定されています。品種が変わると設定値も変更されます。

 数十枚ほどの定量のプリント基板が1ロットとして既に採番されています。プリント基板は1枚ずつメッキ槽に流されます。最初の1枚を挿入する際にロット番号と時刻が紐付けされます。プリント基板は定速で移動しているため、メッキ槽の各電極をいつ通過しその時の各電極の電流値も計算上で正確に紐付けることができます。当然この間に順番の変更、時刻間隔が変わることはありません(変えることができません)。

 プロセス系の設備の様に連続生産する場合は、ロットとデータの紐付けは容易ですが、非連続が発生する工程に対してどのように対処するかを検討する必要があります。現場の担当者の話を聞くと、目的とする分析の精度を上げるためには、非連続工程でのデータの紐付けが重要であることが多くあります。データはあっても、紐付けできなければ活用できません。データ活用の大きな課題の一つです。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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