176フリーフローライン

 自動化ラインの構成要素と考え方について、TFS自動化研究所 村山省己氏の「グローバル自動化ラインの基礎知識[加工・組立ライン編]」日刊工業新聞社の書籍に掲載されています。ここでその一部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 工程毎の設備では多様性・汎用性・チョコ停の無い・不良品を作らない標準化された設備でなければならない。自己完結型の設備で品質保証を行う、即ち府不良品を作らないよう、それを外部に流さないようにしなければならない。食品工場のラインにおいても、次のような手段で不良品の生産を防いで流出を阻止しなければならない。特に食品衛生上の欠陥は企業の命取りになる可能性すらあるので、設備化にあたっては特に食品衛生に注意することが必要である。

①OK品とNG品の処理:自工程で品質判定を行い異常があればそれを顕在化し、次工程にNG品を流さないようにしてから0K品は人手を掛けずに自動で搬出するようにする。

②不良品を作らない・流さない:加工品の機械への取り付けを作業者が行う設備を着々化のレベルの設備と言い、着々化の機能を有する設備こそが次工程完結型の設備である。自工程から不良品を流さないが大原則で、そのための仕掛けを設備に仕込んでおかなければならない(自己完結型工程)

③アンドン:異常があればアンドンの赤ランプを点灯させ装置を止め、異常の原因を解明し原因の対策をした後に、装置を再稼働する仕組みで連続的に生産性向上と品質向上の効果を示す仕組みである。

④赤箱:ダメージを受けたものはNG品として次工程に流出しないように赤箱を用意し、この箱の中に入れる。作業者が1度入れたNG品を取り出せないように赤箱には鍵を×などの構造にする。

⑤自己完結型設備:異常が発生した時の設備側の動作の制御を標準化しておく。異常発生時の処理を標準作業としてマニュアル化しておき、設備にはインターロックを組み込み標準作業以外の作業はできない仕組みを制御システムに組み込んでおき自己完結型の設備とする。この一連の作業を手順書に明記し標準作業として作業者に徹底するように教育しておく。

<経験と見解>

 以前、ハードディスクの自動組立ラインを開発、導入した経験があります。ラインはフリーフロー方式を採用しました。フリーフロー方式は各工程間を非同期のコンベアでつなぎ、自工程の手前にワークがくると、そのワークを自動で設備内に取り込み、組立作業、排出まで行います。ワークは組立パレットに搭載され、組立不良が発生するとパレットの機能の一つであるNGフラグを自動で立てます。フラグが立っているワークは次工程以降スルーします。ラインの終端でOK品NG品を振り分けます。各工程の部品の整列と供給は作業者が行います。基本構成は①組立パレット ②フリーフローコンベア ③パーツ供給 ④組立ロボット ⑤エンドエフェクタ となります。 以下、詳細です。

①組立パレット:ハードディスクドライブの被組み付けワークであるDE(Disk Enclosure )を搭載して各工程へ移動するパレットで、各工程でNGが発生した場合、フラグを立ててNGを知らせる機能を持っています。前工程でNGフラグがたつと以降の工程はスルー(無作業) となります。

②フリーフローコンベア:連れまわりタイプのコロを使った搬送コロコンベアで、ストッパによって各工程の手前で組立パレットを停止させる機構と、数枚のパレットをアキュームする機構があります。次工程の作業が終わると、ストッパが下がりパレットを1枚だけ搬送させることができます。組立作業位置に搬送されると2番目のストッパでパレットを停止させ、下からリフターでパレットを持ち上げ、コロから分離し、位置決め固定を行います。この状態で組立ロボットの作業が行われます。作業が終わるとリフターが降下し、パレットをコンベア上にリリースします。パレットは次の工程に搬送されます。

③パーツ供給:作業者が部品をトレイに整列させ、そのトレイをロボットへ供給します。ロボットと作業者はクリーン度と安全性の確保のため、完全に分離されています。トレイの出し入れは、上下2段の引き出しタイプまたは、回転テーブルタイプのローダー&アンローダーで行います。

④組立ロボット:直交ロボット、SCARAロボットによるピック&プレイスで各工程の組立を行います。組立は円板(媒体)の搭載、円板ネジ締め、バランス測定とカウンターウェイトの装着、円板バーニッシュ(磨き)、ヘッドユニット挿入、カバー搭載、カバーネジ締めの7工程です。カバー搭載を除いた6工程が全自動です。

⑤エンドエフェクタ:円板の内輪を吸着するハンド、円板固定用のスプリングプレートの把持する機構と6本のネジを吸着してネジ締めする機構を一体化させたハンド、Cリンク形状のカウンターウェイトを把持するハンド、フレキシブルプリント板と一体となったヘッドユニットを把持しネジ締めするハンド、7軸同時ネジ締めツール 以上を各工程のロボットに搭載しました。

 以上、抜粋記事にある自己完結型設備によるライン方式だと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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