174企業秘密
企業秘密には大きく2つがあると思います。1つは他社との差別化を図るために、自分たちが長年蓄積してきた、スキル、ノウハウを秘密にする場合です。製造業では、製法特許などで権利化することもできますが、あえて特許化しなで企業秘密とすることがあります。もう一つはその企業にとってネガティブな案件、風評に繋がる案件に対して自社内で迅速に解決するため、企業秘密とする場合があると思います。
スマートファクトリーを構築するためには、他社を含めた情報の共有が無ければ成り立ちません。例えば、組立工場で部品を調達するに当り、前工程の部品メーカーの歩留まりが良くなく、価格が下がらない場合があります。部品精度の緩和ができないか、工法を工夫できないかを組立工場、部品メーカーが一緒になって取り組むことが必要となります。コストダウンで儲かった分は双方山分けすればいいと思います。
その業界の発展のためには、同業他社間での情報開示も必要となってくると思います。少なくとも、SCMの企業の中では情報の開示を進めることは重要です。IoT、AI、スマート工場推進のベースとなります。
以前、SMTラインの設備のチョコ停をビッグデータで分析したことがあります。収集したデータのほとんどが、どのようなエラーがいつ、どの程度発生したかという情報と、チップ部品、プリント基板の機種やロットに関する情報でした。いわゆる物理量のデータではありませんでした。実装組立系の重要な管理項目として位置決め誤差、位置合わせ誤差があります。誤差の積み重ねが組立不良となります。SMTラインにおいても、プリント基板の誤差、位置決め誤差、チップ部品の誤差、位置合わせ誤差などのデータがあるはずです。
あとで分かったことですが、SMT設備の中に蓄積されているデータは、ユーザーに開示できるデータと開示できないデータ化(SMTメーカーが使うデータ)の2つがあるということです。先ほどの稼働データは開示データであり、開示できないデータの中に、設備の位置誤差などのデータがあったのではないかと思います。
この位置誤差のデータが入手できると、さらに踏み込んだ分析できるので、ぜひ入手したいデータの1つです。IOT AI化さらにスマート工場化を進めるに当り、メーカー側のデータ開示が必要だと思います。
20年ほど前、父親が腰の神経痛で1週間ほど入院しました。病院での毎日の食事は塩気が無くおいしいものではありません。堪りかねた父親は看護師に皮肉を含めて尋ねました。「一体どう料理すると、こんなにまずくできるのかね?」看護師は一言「それは企業秘密です」
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