170 DIYと治具
ブログ№168で自動化は治具からといった話題について記載しました。組み立てを自動化するためには、製品設計の段階で組立性を考える必要があり、今すぐに対応できない場合は、組立治具を設計しましょうといった内容でした。このような治具があったらいいなとか、ここをこう押さえたらとか、こうガイドできたらもっと組立が安定するのに、といったアイデアはいっぱいあるのだけれども、そもそも治具を設計できる人材がいないといった場合も多いと思います。こういった場合は便利な先端技術を使ったらどうでしょうか。
ブログ№049、№169で紹介したものづくり工房では、月数回ほどものづくりワークショップを開催していました。その分野の匠が先生となり参加者を募って、その場、その時間内に革の作品、木製の作品、テキスタイルの作品を仕上げます。市販の製品レベルの作品が出来上がり、お持ち帰りしてもらいます。また、企業の新人研修の一環としてものづくりを体験するといった企画もありました。その企画の中に、ドローンを製作するワークショップがありました。
市販のドローンを準備して、既存の4つのプロペラを取り外し、参加者が思い思いのプロペラを製作してドローンに取り付けます。ドローンが飛ぶか、飛ばないかといった興味もありますが、参加者がどういった考えの下に製作に取り組んだかの発表もあり、大いに盛り上がりました。
ドローンのプロペラの製作手順は次の通りです。①粘土でプロペラを創作する。②3Dスキャナーで粘土の3Dデータを作成する。③そのデータを使って、3Dプリンターで樹脂製のプロペラをアウトプットする。④ドローンに取り付ける。以上です。3D設計は必要ありません。
たとえば、製造ワークの固定治具を作る場合は、粘土の上にワークを乗せ、上から押し付けると粘土にワークの形が転写されます。それを3Dスキャナーと3Dプリンターを使って、前述のドローンのプロペラの様に、樹脂製の固定治具を作ることが出来ます。
たとえば、ロボットで複雑な部品を摘まみたい時。その場合も粘土で部品の型を採り、同じく3Dスキャナーと3Dプリンターを使って樹脂製のロボット用のフィンガーができます。
ものづくり工房では、小さな子供たちが作った粘土の動物や恐竜を、お父さん、お母さんが3Dデータ化しさらにそのデータを1/2、1/3に縮尺してクリスマスツリーのオーナメントを作っていました。
そもそも、この工房にはものづくりのアイデアをいろいろと持っているのだけれども、形にすることができない人達が集まっています。設計するといった概念を持っていないDIY思考の人の集まりです。この人達が便利な先端技術を使ってアイデアをすぐに形にできる。これがものづくり工房です。治具も初めはDIY感覚で作ってみたらどうでしょうか。3Dスキャナーも3Dプリンターも経費で購入できるレベルです。
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