136生産技術部門の有無


 生産技術部門の有無について、ロボコム㈱天野眞也氏の「産業用ロボットの普及、促進と今後の課題」といった記事が技術情報協会出版の書籍に掲載されています。ここでその1部を取り上げ、自らの経験と見解を記載したいと思います。

<記事の抜粋>

 産業ロボットの導入に限らず、自動化を行うためには、まず自動化する工程、作業を決め、工程分析を行い、自動化構想を練って「仕様書」を作る必要がある。生産技術部門もしくは同様のエンジニアが在籍する場合は、それを社内で作成することができ、その先を外部に委託する場合でも社内で内製する場合でも、スムーズに自動化が進む。仕様書さえあれば、そこから先を受けるFA・ロボットシステムインテグレータは多数存在するため、内製できるエンジニアがいたとしても費用や納期、仕事の状況で柔軟に外部リソースを活用できるのだ。また、自動化を進めるたびに社内にもノウハウが蓄積され、さらに「仕様書」に落とし込む精度が上がっていくという好循環が生まれる。

 翻って、そのようなエンジニアがいない場合、外部の装置ベンダーに仕様書作成から依頼する必要がある。もともと自動化のノウハウがないため、冒頭の「自動化する工程、作業」を決めたり、工程分析、構想設計から外部に委託したりする必要があるため、そのような工程から相談にのってもらえる企業に依頼をして進める必要がある。しかし後述の通りその構想設計を行える人材が圧倒的に不足しており、あらゆるところに相談したものの、なかなか相談にさえ乗ってもらえないという話もよく聞く。また、エンジニアがいない場合、自動化の知見がなかなか蓄積できず、費用対効果の検証も難しいため、結果として予算が付けられず、自動化・ロボット化がなかなか進まない。

<経験と見解>

 自動化、ロボット化を進めるためには、一つには抜粋記事にあるように現場の生産技術、製造技術が必要となります。さらに大手企業の場合はコーポレートの生産技術の活動も重要となります。

 大手メーカー企業には、グループ工場のものづくりを統括するコーポレートとしての生産技術部門が必ず存在します。全グループのものづくりの標準化を進めたり、グループ共通の技術を導入したりします。ものづくりの標準化には、JIS ISO準拠の各社設計、製造の標準を作成し普及させます。共通技術とは、TPS、ロボット技術、そしてこれから展開が期待されているIoT AI技術があります。

 コーポレート部門が、全グループへ共通技術を展開する方法はいくつかあると思います。TPSの場合は3つの方法がありました。1つには全国のグループ会社のトップが集まる月1回の生産革新大会、2つにはTPSのスキル認定活動、3つには工場間改善研究会です。(ブログ№058参照) 中でも1つ目はTPSの普及だけでなく、ロボット、IoT、AIの展開にも共通に使えるものだと思います。

 併せて、コーポレート部門は革新的な改善を図るため、研究部門、外部団体とも連携して、IoTの新技術導入に関してフィージビリティースタディーをグループ会社のモデル工場で実施します。同じく月1回の集まりの場で報告します。

 現場の生産技術、コーポレートの生産技術それぞれ役割は違いますが、自動化・ロボット化さらにはIoT化 AI化を牽引する部門であることに違いはありません。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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