116 IoT AIを活用した品質改善(解説13)
㈱技術情報協会から書籍「工場・製造プロセスのIoT・AI導入と活用の仕方」が出版されました。その中の「プロセス系工場でのIoT/AIを活用した品質改善への取り組み」について執筆しましたので、数回に分けて解説したいと思います。今回は13回目です。
<抜粋:まとめ>
当社モデル工場での事例を通して、プロセス系工場でもIOT/AIを活用した品質改善への取り組みを紹介してきた。以下のポイントをまとめる。プロセス系工場は、対象製品が異なっていても製造工程の特性は類似しているので、ひとつの参考にしていただければ幸いである。
・データの棚卸は、データの整理整頓であり、データの2S活動ということができる。データを活用したいかなる取り組みにおいても、共通して必要となる活動である。
・要因分析は製造やプロセス技術の有識者、現場の技術者により実施される分析である。工場での製造に関する暗黙知、形式知など全ての情報を集約した上で、品質の安定化を妨げる要因がどこにあるか仮説を立て、重要度の優先順位を決定する。品質改善の取り組みの中で最も重要なフェーズである。
・データの収集・統合・分析及び加工条件のチューニングは品質改善だけでなく要因分析の仮設検証の意味合いもある。ここで作成される予測モデルには工場のノウハウが集約されており、その工場のものづくりの中核となる。
・データを活用したこの品質改善の一連の流れを向上に導入するためには、保有データの標準フォーマット化がネックとなる。しかしこれが実施されると、加工条件の適正化や設備メンテナンス時期の推定など、品質改善以外でもデータを使って幅広く課題に対応できるようになる。工場の見える化から一歩進んだスマート工場の形が見えてくる。
・データの収集・統合・分析のフェーズはシステム化が可能であり、プラットフォームの親和性も高いため当社のものづくりプラットフォームCOLMINA上での運用を検討している。
<解説>
上記まとめに下記を加えます。
・工場既存のデータを活用して、生産効率化、品質の安定化を図るといった考え方では思い通りに事は進みません(予測精度の向上は望めない)。改善目的に合った必要なデータ、品質の良いデータを使って、初めて工場の改善サイクルに導入することができます。
・レトロフィット技術を活用すると旧式設備のIoT化を進めると同時に、AMRのようにIoT機器のメーカー、機種に依存することなくデジタル化を進めることができます。
・データを使った改善活動は、従来のものづくり技術者のほかにデータサイエンティストが必要となります。
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