093予兆予測への取り組み

 製造ラインの自動化を進めたいとか、IoT AIを導入してスマート工場構築を推進していきたいと考えている工場経営者は少なくないと思います。目的とするところは、ものづくりの普遍のテーマであるQCDの革新的な改革であると思います。しかしながら、具体的に何から何をすればよいのか、またその効果はどの程度かを見積もることは簡単ではありません。最終的にはいかにロス、コストを低減するかが命題である工場では、投資に向けた案件は慎重になります。

 自動化の場合:今、作業者1人でやっていた工程にロボットを導入して、1人削減しました。一方で、ロボットをメンテナンスする要員が1人増えました。では当然人件費の削減にはなりません。人ではできないような作業にまずは目を向けて、自動化を進めることが必要だと思います。たとえば、電子部品製造では、部品の微細化が進むにつれて、コンタミ、発塵が原因で不良ロスが指数関数的に増加するため、クリーン環境を年々厳しくしていく必要があります。人が部品に触ればコンタミの要因となり、人が動作すれば発塵の要因となります。自動化せざるを得ません。

 IoTの場合:プロセス系の工場には何百何千のセンサーがあります。そのセンサーの各値を読むために、アナログメーターがあります。通常、日に2,3回程度の読み取りで製造状態を監視している場合が多いと思います。読み取り時間は数秒程度であり、かなり離散されたデータとなります。後に控えている解析、分析において正確な結果を導くのに十分なデータであるかはいささか疑問です。たとえば、アナログメーターをウェッブカメラで1分間隔に読み取り、24時間連続で収集したデータを使って解析、分析した場合は、その信頼性は大幅に向上すると思います。解析、分析の結果の信頼性を向上するためには、IoTの導入をせざるを得ません。

 AI分析の場合:従来は突発的な障害や歩留まり低下が発生すると、その原因を探るため、各製造工程の既存データを集め、分析し対策を立てるといったPDCAサイクルでしたが、AI分析の場合はIoTで収集したリッチなデータを使うことで、異常予兆の検出、品質予測をすることができます。不良を未然に防止するといったPDCAサイクルの構築には、AIの導入をせざるを得ないと思います。

 自動化、IoT、AIの導入に当たっては、そうせざるを得ない状況に自身の工場があるのだといった危機感を持つことが重要であると思います。

 以前、化学処理の液槽の温度を表示しているアナログメーターをカメラで1分間隔に撮影したことがあります。(従来は8時間に1回作業者が読み取っていたものです) そのデータからは、温度を一定に保とうとする設備の、ON OFFのスイッチング動作を読み取ることができました。製造工程の品質管理だけでなく、設備が正常に動作しているか否かもわかりました。設備故障の異常検知のために、新規に振動センサーを取り付ける前に、代替手段で現象を読み取れる方法がないかを検討することも、大切だと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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