090実装組立系工場のIoT(その1)
プロセス系工場のIoT導入について、前回前々回のブログで紹介しました。ここでは後工程である実装組立系工場のIoT導入について考えてみます。導入の目的は生産の効率化と品質の改善とします。生産の効率化では、設備のチョコ停や突発的な故障によるライン停止などによる生産ロスを、改善または未然に防止することを目的とします。品質改善では、製造工程内の品質を改善することで、最終検査工程での不良ロスを低減または未然に防止し、最終歩留まりや直行率を向上することを目的とします。
プロセス系工場の場合、管理項目は温度、圧力、電流、時間などが共通の指標として使われます。実装組立系の工場はどうでしょうか。チップ実装のリフロー工程などは同じく温度や時間が管理項目になっています。さらに重要で共通な管理項目は部品のばらつき、設備の位置決め誤差や位置合わせ誤差のです。
たとえば、SMTラインのはんだ印刷では、プリント基板上の規定位置にはんだが転写されているかがポイントになります。ずれているとチップ実装後のリフローではんだ付けがされないことになります。(話はそれますが、チップ実装の位置はプリント基板を基準にするか、印刷されたはんだを基準にするかを調べたことがあります。SMTメーカーの資料によると実装されたチップはリフローを通ると、はんだが溶けてはんだ自身が持っている表面張力によって、チップの位置、姿勢を修正します。いわゆるセルフアライメントです。したがって、印刷されたはんだ基準で実装位置を調整するとありました。位置ずれ量にもよりますが、すべてセルフアライメントに頼っていいのかは検討する必要があると思いました)
たとえば、SMTラインのチップ実装工程では、ロボットが吸着コレットでチップを把持して、その位置、姿勢をカメラで計測します。実装されるプリント板の位置もカメラで測定します。計測値がばらついていたら、ロボットの位置決め機能に異常がある場合もあるし、コレットや部材のばらつきや異常の場合もあります。また、最終検査工程の結果にどの程度の影響があるかなど、バラツキ、誤差を監視するだけでも、設備の異常や実装品質について予兆、予測することができると思います。
たとえば、さらに後工程となる総組立においても、部品のばらつき、設備、治具による誤差をカメラなどで計測できるようになれば、SMTラインと同様に、設備の故障予兆や製品の品質予測ができると考えることができます。
総組立の自動化は、まだまだこれからといった工場も多いかと思いますが、ものつくりと同じ様に、データの作り込みも重要となります。そのため、カメラによる位置、姿勢の計測は、実装組立工程に必須のIOTとなります。
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