077食品製造業界(その2)


 先日テレビで気象データを活用して食品ロスを削減するといった番組を見ました。興味を惹かれる内容でしたので調べてみました。日本気象協会では食品製造の業界と連携してビジネス化しているということが分かりました。下記に一部を掲載します。

 冷やし中華つゆは夏の終わりに在庫が多く残ってしまうという特徴があります。少しでも在庫を削減して無駄なロスを削減するために、日本気象協会では実際の気温では読み切れない消費者心理や体感の変化を表す「体感気温」をTwitterのデータを元に開発しました。過去の冷やし中華つゆ実績データと同時期の気象データを解析する際に、この「体感気温」を使用したところ、冷やし中華つゆの需要予測式の精度が大きく改善しました。毎週15週先までの需要予測を提供してオペレーションで使っていただくことで、約35%食品ロスを削減することができました。

 冷やし中華つゆの事例以外にもドリンクや日配品、菓子などさまざまな気象と関係のある食品の需要予測を行い提供しています。前年実績や勘と経験に加え、「気象×データ」で導き出した需要予測や気象予測を使用していただくことで食品ロスや廃棄ロスを削減していきます。

 また、日本気象協会の調べでは、国内の食品ロス500~800万トン/年が、世界の食品援助量390万トン/年より大きいと出ています。企業側もCSRとして食品ロス削減を求められているとのことです。

 今までデータ活用の取り組みについて、いくつか取り上げてきました。気象データのように品質の良いデータを活用することで、データ収集、統合、分析がスムースにできると思います。説明変数としては日時、曜日、天気、気温、湿度、風向、風量、降水量、日照時間、気圧などが挙げられます。目的変数としては肉、魚、野菜、総菜のロス量などが挙げられます。効果としては製造エネルギー、廃棄エネルギーの削減で環境への影響を抑えることができる点、製造時のムリ、ムダ、ムラの削減によるコストを低減できる点があります。

 さて、これを実現するための課題は何か?です。気象の変動に追従するため、多品種変量生産が安定的にできるシステムを考える必要があります。今まで通り人手に頼った方式だけでは、需要の変動に合わせて作業者の雇用、解雇に悩むことになります。食材の供給も生産者から小売業者まで連携する必要があります。サプライチェーンシステムは業界団体の取り組みが必要となります。

 気象とは関係ありませんが、さらに大きな変動コロナウィルスの場合はどうでしょうか、消費者を巻き込んだ取り組みが必要です。

参考資料

https://www.jwa.or.jp/news/2019/10/8459/

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss_symposium/pdf/food_loss_symposium_0008.pdf

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