069住宅業界
S社の住宅用鉄骨軸組の自動化技術とスマート工場への展開について考察してみました。
<ロボット活用による自動化技術>
S社では、従来ロット生産であった鉄骨軸組の製造を、個別住宅毎に製造できる完全自動化の仕組みを2010年度から導入しています。以下、添付資料の動画からその自動化について記載します。(一部推定しています)
溶接ラインは、部材の供給設備1台、部材のハンドリングロボット2台、治具台車2台、溶接ロボット2台と組立後の搬出用のロボット1台から構成されています。部材供給設備は、ハンドリングロボットが部材をピックアップし易い様に上下機構を使って部材を移動させます。ハンドリングロボット2台は、交互に部材をピックアップして、治具台車まで走行機構で移動し、部材を搭載します。田の字の軸組の場合は6個の鉄骨を搭載します。治具台車では各鉄骨を位置決めして固定します。次に、治具台車は溶接ロボットまで移動します。(動画にはありません) 2台の溶接ロボットで溶接したのち、軸組は搬出用ロボットで治具台車から搬出コンベア(動画にはありません)に移されます。サイクルタイムは3~5分ほどでしょうか。多品種の軸組に対応するため、治具台車には部材の固定機構が複数搭載されていますが、ロボットハンドは1つで対応しています。
部材のキッティングセル?では、ロボット3台で棚から部材(鉄骨)を取り出して、トレイにセットしています。トレイは直接AGVに搭載されていると思います。(動画にはありません) 部材キッティング後に溶接ラインへ移動しトレイを積み下ろします。AGVの荷台に上下機構が付いているので、トレイの下に潜り込めば簡単に積み下ろしができると思います。
以上、部材のキッティングから溶接組立、搬送コンベアまでを全自動で行うことができています。多品種に対応したこの自動化を完成させたポイントが3つあります。①多品種に対応した治具台車、②ロボットハンド1つで多品種をハンドリングできるような製品側の設計(動画にはありませんが、把持代などの工夫)、③ロボットによる部材のキッティングとロボットが取りやすい部材棚。です。ロボットに合わせた製品設計と現場環境の設定が考慮されています。
<スマート工場への展開>
S社では、2017年から溶接ビードの全数自動検査に入ったそうです。これと、自動化ラインから収集される溶接の電流、時間、ロボットの位置データなどを紐付けして、AI分析すれば、ばらつきのない安定した製品品質を得ることができると思います。
参考資料
https://www.sekisuihouse.co.jp/sustainable/social/cs_10/index.html
https://www.youtube.com/watch?v=Rlj0-W3ElEg
http://mojix.org/2010/12/20/sekisui-robot-auto
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/newsobj1561.html
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