500 分割して統治する

 たとえば20個の部品からなる組立品があるとして、そのうち主部品が1つあると考えてもいいのですが、これを1ラインで組めば、20工程あるいは19工程ですが、それを1ライン構成にするのがいいか、それともサブアセンブリに分けて5つずつまとめて、それを4個組むのがいいのかということに対して、どうですか?(Aさん)

 その議論は、松の木型と杉の木型と言っています。松の木は幹から順々に枝分かれし、その先でまた分かれています。杉の木の方は1本の幹があって、そこにたくさんの枝が付いています。これを流れとして逆に見ているわけです。~中略~ 

 杉の木型はどこかにトラブルがあると全行程がすぐに止まります。工程が増えるほど止まる確率が加速度的に増えます。ラインを短くして、つなげていくというようにしないと、駄目の様です。結論的にはサブアセンブリ方式(松の木型)に凱歌が上がるのではないでしょうか(牧野先生)

 といったような話題が自動組立の権威である牧野先生の著書にありました。杉の木型、松の木型にしても、1つの工程が止まってしまえば遅かれ早かれラインは止まります。実際の工場の運用では、工程間にバッファ(緩衝たまり)を設けています。バッファ分が消費される前までにトラブル工程が復旧すれば、ラインは止まりません。

 上記のたとえで考えると、杉の木型はバッファが19か所と緩衝量に応じた組立パレットが必要となるのに対して、松の木型はバッファが4か所と組立パレット数も1/4~1/5になります。この点でも松の木型は有利だと思います。ただし、松の木型は適切なサブアセンブリ構成と数、そしてメインライン構成を検討する必要があります。自動化のラインを組む場合も全く同じ課題にぶつかります。「いかに分割して統括するかですby牧野」。

 ちなみに、トヨタ生産方式のように、わざとラインを直線でつなぎ、バッファもなく、トラブルが発生したらライン全体をすぐに止めるやりかたもあります。その場で原因を探し、対策案を考え、すぐ実行するといった改善活動をやって、トラブルを徹底的に根絶する運用方法もあります。

 製造現場が、このような苦労をしないように、信頼性の高い自動化設備、システムを開発して導入することが、生産技術の使命です。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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