497 TPS、自動化、IOT(その2)

 以前、携帯電話製造のサブ組立ラインの自動化に取り組んだことがあります。そのラインはメイン基板にフレキシブルプリント板を接合するラインでした。接合作業は大型の専用設備で行いますが、部材の供給、接合後のメイン基板の取り出しは作業者が行っていました。

 ご存じのように、携帯電話は多品種対応となるため、専用設備の接合部のアタッチメントを機種に合わせて交換する必要があります。これも作業者が行います。さらに、10本程のメインラインに対して、専用設備を有するサブラインは2ラインしかなかったので、サブラインへの部材集約はもちろん、メインラインへの分配も煩雑となっていました。

 当初工場側は、この専用設備への部材供給と専用設備からの部材の取り出しをするロボットを増設する予定でした。この作業に当たっては、6自由度のロボットが必要であることは、作業分析からわかっていましたが、多品種に対応したハンドリング、部材の配置のばらつきなど、難易度の高い課題が山積みでした。

 そこで逆に、このロボットが持っている機能に合わせて、供給トレイの見直し、レイアウトの見直し、作業動線の見直しなど、サブラインの見直しをしました。当初サブラインの運用は作業者7名で行っていましたが、見直しをかけることによって、ロボットがなくても3名体制で運用できることが分かりました。

 結局、ロボット導入は見送られました。ロボット視点でラインを見直すことで、ロボットを入れずしてコスト削減ができました。これも自動化推進活動の1つと言えます。自動組立の世界的な権威者である牧野先生の言葉です。「自動組立は組立の自動化ではない。組立を自動化するために何かをすることである」

 同じ様にAI分析をやろうとして、初めて見えてくるIOTの姿、自動化の姿、改善活動の姿があると思います。「うちの工場は多品種少量だから自動化はできません。当面、今まで通り改善活動を進めます。IOT、AI分析は将来の検討課題です。」ではなくて、将来の課題を今すぐに具体的に検討しましょう。自動化、改善活動の課題が明確になるとともに、活動スピードも加速していくと思います。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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