488ゼロエミッション

 以前、東京都中小企業振興公社多摩支社で「ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業」の実施に向け、大手企業開拓や大手企業と中小企業とのマッチングなどを担うコーディネーターの募集があり、応募しました。その中で、「カーボンニュートラル進展の影響により、中長期的に既存事業の先細りを懸念する中小企業のために必要となるマッチング支援について、どのような手順で支援を進めるか記載してください。」といった事前課題があり、以下のように記載しました。

1.カーボンニュートラルで何が求められているか

 資源エネルギー庁のホームページによると、カーボンニュートラルを達成するためには「CO2排出原単位」と「エネルギー消費量」の低減が必要とあります。中でも、ものづくり現場において省エネはQCDと同様に普遍のテーマです。ここでは省エネ対策の1つとして製造工程内の不良品の削減を取り上げます。

2.製造工程内の不良品の廃棄と省エネ、省資源化

製造工程内の不良品とは、各製造工程で品質規格を下回る製造物のことを指し、不良品は廃棄または修理になります。これは最終製品の歩留りの低下を招き、ビジネスへの影響が大きいばかりか、不良品製造にかかるエネルギー、廃棄にかかるエネルギー、修理にかかるエネルギーなど膨大なエネルギーの損失が発生します。

3.不良品の削減に向けたデータ活用の取り組み

 以前コンサルしたあるプロセス系の製造工場では、不良品を出さないため日々製造状態を監視し、チューニングを施していますが、品種の切り替え、新製品の場合、大量の不良品が発生します。さらに原因不明の突発的な不良品の発生もあります。この企業にヒアリングすると、各工程の品質管理は対応可能であるが、工程間をまたがる多因子が影響する場合はお手上げであるとのことでした。解決策の1つとして製造データを活用して異常予兆を検知する仕組みを構築することを提案しました。残念ながら品質の良いデータを収集することが出来ず、十分な予兆検知精度が得られず、実用化までには至りませんでした。ただ、データ活用による予兆件検知は不良品の削減に効果的であることは言うまでもありません。

4.データ活用の流れに基づく支援活動

 データ活用の流れは、①製造現場にどのようなデータがあるかを整理する。②不良品発生の仮説を立てる。③必要なデータを収集統合する。④統計手法、AIなどで分析する。⑤予兆検知などの運用システムとして現場へ導入する。となります。

5.大手企業と中小企業の製造データ連携

 近年のものづくりにおいては、大企業と中小企業間で役割分担化が進み、サプライチェーンが強化されています。製造データもサプライチェーンを活用し、流通させることでトータルの不良品の削減につながると考えています。

 以上、応募の結果は、「慎重に審査いたしましたが、誠に残念ながら貴殿の希望に添いかねる結果となりました。」でした。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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