406 IoT AI(プロセス工場と組立工場)


 ㈱技術情報協会から書籍「工場・製造プロセスのIoT・AI導入と活用の仕方」が出版されました。その中の「プロセス系工場でのIoT/AIを活用した品質改善への取り組み」について執筆しましたので、数回に分けて解説したいと思います。今回は2回目です。

<抜粋:プロセス系工場と組立系工場>

 工場は、製品の製造形態によりプロセス系工場と組立系工場に大別できる。プロセス系工場とは材料や部品を製造する工場であり、製造設備によって管理された工程が大部分を占める「設備集約型生産」による製造がおこなわれている。対象製品には、化成品、医薬品、セメント、鉄鋼などの材料、ネジ、バネなどの機械要素部品、プリント基板、チップなどの電子部品が例として挙げられる。組立系工場とは材料、部品を集約して自動車やパソコンなどの最終製品に組み付けしていく工場であり、人と設備の協働作業から構成された「労働集約型生産」による製造がおこなわれている。いずれの工場でも、製造の各工程において品質に関わる何らかのデータの収集が行われている。製造設備が自動で収集するデータから、オペレータによる計測器の読み取りデータなど様々である。

 品質改善に向けた取り組みを考える上で、プロセス系工場と組立系工場では製品の品質に影響する要因や不良品の特徴に大きな違いがある。プロセス系工場では、主に製造設備の設定条件の違いにより品質が左右される。製造された材料、部品は修理が聞かず、一旦製造された不良品は廃棄処分となる。さらに、原材料の投入から出荷まで工程が連続している場合が多く、不良が検出されると前後工程を含めて大量の不良品を作ってしまうことになる。そのため不良品問題で製造ラインが停止すると多額の損失になる一方、品質(歩留まり)が僅かに上がっただけでも年間数億円の効果が見込まれる場合がある。これに対して、組立系工場では、作業者のスキルやノウハウが品質を大きく左右する。不良が発生しても修理が効く場合が多いため、いかに不良品を作らないかの改善の取り組みとあわせ、いかに無駄なく効率的に製造できるか、修理できるかが追究される。不良品が出た場合は、修理工数が別途必要となり多額のコストがかかる。

<解説>

 プロセス系工場には、鉄系、非鉄系など、原材料から精製して均一素材を製造する工場や、その資材から単一部品を作る工場があります。さらに、半導体やプリント基板の様に、複数の素材を使い、化学反応、電気的な処理を施してものを作ることもあります。いずれも、専用設備がなければ、ものづくりができない工場です。

ガ ラスやプラスチックなどの単一製品の場合は下流工程で不良となっても、不良品を原材料として取り扱うことができます。半導体、プリント基板のような複合素材の製品の場合、不良品は産業廃棄物として取り扱わなければならない物もあります。この場合、不良は材料のロス、製造時にかかるエネルギーのロス、さらに廃棄物処理にかかるロスなど、多くの問題を抱えています。

<追記>

 電子機器製品の場合、プロセス系と組立系の間に実装系があります。代表的な実装系はプリント基板に電子部品(チップ部品)を実装していく工程です。SMTと呼ばれる製造ラインで、クリームはんだ印刷、チップ部品の搭載、リフロー、実装検査などの工程から構成されます。ワークはプリント基板で、部品は砂粒ほどの大きさで、1秒間に数十個の部品がプリント基板上に搭載(実装)されます。いずれの工程も設備で行われます。一方、部品の供給や印刷版や治具の交換は人手で行われます。プロセス系との違いは、実装不良に対して修理が効く点です。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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