402ロボット(汎用)
直交、SCARA、多関節、パラレルといった汎用ロボットをベースマシンとした設備開発の取り組みについてまとめてみました。汎用ロボットの特徴は製造する製品に対して、多機種、多世代に対応できる点です。
<直交ロボット>
ハードディスク組立の例でみてみます。この組立工程の中にカバー(蓋)取り付け工程があります。主作業は7軸同時ネジ締めです。ハードディスク本体のケースとカバーの間にゴムパッキンを挟んだ状態でネジ締めを行い、トルクのばらつきは10%程度に抑えることを要求されていました。自動ネジ締め機7台をネジ締めのポジションに配置した一体型のハンドをロボット先端に取り付け、7つのネジを同時にピックアップしてネジ締めを行うまでの動作をさせました。ハンドの取り換えで、カバーネジ締めのほか媒体ネジ締め工程にも同じロボットを採用して、ハードディスク3機種、3~4世代に対応しました。
<SCARAロボット>
同じく、ハードディスク組立工程の1つにヘッドユニットのロボットによる組み付け工程がありました。媒体のリードライトをするヘッドユニットにはフレキシブルプリント板が一体となっていました。位置、姿勢がままならないこのユニットは、作業者が事前にフォーミング治具にセットし、位置、姿勢を強制します。治具はヘッドユニット10個を搭載することができ、そのままロボットに供給します。ロボットは強制されたヘッドユニットの形を崩すことなく把持できるグリップ(把持機構+吸着機構)でピックアップし、組付けします。グリップの取り換えでハードディスク3機種、3~4世代に対応しました。
<多関節ロボット>
球技用のボールを製造しているA社からの依頼で、ボールの表面に革を貼り付ける自動化にA社と共同で取り組んだことがあります。工程内には加熱加圧といった劣悪な作業環境がありその改善が自動化の目的です。A社の設備部隊は、この劣悪な作業の改善と品質安定化のため、油圧による自動加圧機構の開発に着手、型の内面に革を自動で並べる手段としてF社製の多関節ロボットを採用しました。
製品品質に大きく影響する革を並べる作業は、斜め移動ができ高精度位置決めが要求されるため、F社製の多関節ロボットの特徴となっている機能性能を十分引き出すことができ、数年で100台程度を導入するまでに至りました。専用ハンドを取り替えることで対象はサッカー、バレー、バスケットボール各2種程度に対応していました。
<パラレルリンクロボット>
多機能システムは、多品種少量生産やライン変動に柔軟に対応することを目的に開発したものです。パラレルリンクロボットを中心にしたシステムで、対象とする組立作業は、SMTラインの後工程です。プリント基板に実装されたパーツへの絶縁シールの貼り付け作業、パーツに接着剤を塗布する作業や、導通チェック作業などを行います。
パーツの供給はロール供給とパレット供給が可能です。ワークの供給には2種類の組立パレットが備え付けられ、それをターンテーブルで入れ換えします。ハンドはシール吸着ハンド、保護キャップグリッパー、接着剤塗布用ディスペンサ、導通チェック用プロ―バなどがあり、自動ツール交換機能(ATC)も装備しています。ただし、ワークのロード、アンロードは作業者が行います。PC用、携帯用プリント基板に多世代にわたり対応しています。
<今後のベースマシンとしての汎用ロボット>
従来マニュアル中心であった組立の現場は、ロボットの導入が急速に進んでいます。ロボットは高速、高精度で24時間稼働できるといった、マニュアル作業ではできないアクチュエータとしての大きな機能があります。併せて、最近はロボットには組立作業に使う視覚センサー、力覚センサーや、ロボット自身をコントロールするための、モータ電流の検出センサー、位置、速度を検出するエンコーダーなど、さまざまなセンシング機能が搭載されています。ここでセンシングされた情報(データ)は、人手を介すことなくものづくり全体に活用することができます。4Mを管理する製造部門、品質管理部門はもとより製品の開発設計部門へのフィードフォアード、フィードバックにも活用できると思います。
0コメント