384タイヤ業界(IoTとAI)

 タイヤ業界の製造に関する取り組みについて、インターネット情報をもとに比較してみました。

 B社…「部材工程」「成型工程」「加硫工程」をモジュール化した全自動システムを構築し、稼働中です。全自動ということで各モジュールは100を超えるセンサーを装備して、そこから得られる情報に基づいてエラー検出や自動補正をしているとのことです。重要なのは全自動化を進めたことにより、品質の安定した製品を製造すると同時に、品質の良い情報(センサーデータ)を得られることです。将来的にこの情報を使って、機械学習し、AI分析へとつながります。B社は品質コントロール、プロセスコントロール、エネルギーコントロール、生産コントロールをAIで制御しようと考えています。実行に当たっては多くの課題があると思いますが、そこに向かっての下地はできていると思います。

 2019年4月の記事には、最新鋭のタイヤ成型設備は数百のセンサーを使って成型中のゴム(タイヤ)の情報を集め、AIが成型時の最適な回転数と圧力を調整します。人の手と目を使わない分、生産性は2倍、人手は1/3に減り、品質面では真円度も上がったとあります。

 S社…2008年下期よりモデル工場のタイヤ生産工程(混合、材料成形、加硫工程)で品質向上をテーマに、AI・IOTプラットフォームを使った製造条件と品質の相関性の解析を開始しています。データの一元化、ビッグデータ解析やAIの活用により、データ収集、解析時間の90%短縮や生産時に発生する仕損の30%低減といった効果が検証できています。データの統合にはThingWorx、データ解析にはLumadaを導入しています。IOT、AIを活用した品質改善の運用のベースができています。具体的なテーマで説明変数、目的変数とも品質が高いデータがそろっていれば運用のステップに移行できると思います。

 Y社…大手ICT企業F社のインテリジェットダッシュボードを導入し、国内外の生産拠点の状況をリアルタイムに横串に比較できるシステムを開発しています。見せる化自体はゴールではなく、問題点を理解した現場から改善策が出てきて、改善の成果が瞬時にわかるといったサイクルを確立することが目指すべき姿です。そのために、様々なデータを集め、活用していくための仕組みが重要になります。との見解です。

 SCM系の課題に取り組むか、PLM系の課題に取り組むか、その効果に基づいて優先順位を決めて進むステップに来ています。

 大手3社ともIOT、AI導入運用に向けて動きだしています。ものづくりのデータは金融、商社などが扱っているデータと大きく違う点は2つあります。様々なデータフォーマットが存在する点とノイジーなデータが多いといった点です。この点を如何に解決するかで、差が出てくると思います。

参考資料

https://nissenad-digitalhub.com/articles/ai-manufacturing-industry-case-japan/

https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1910/04/news052.html

https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2001/29/news017.html

https://iotnews.jp/archives/134519

https://carview.yahoo.co.jp/article/detail/a8c69b2179cf03c38fb589576f0f8d0ca89fb02a/

https://gyokai-search.com/3-tire.html

https://www.fujitsu.com/jp/about/resources/case-studies/trends/pdf/cs-201803-y-yokohama.pdf

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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