383タイヤ業界(製品と製造)

 B社の次世代展開を見据えたタイヤ技術とタイヤの生産技術について考察してみました。

<路面状況をリアルタイムに認識する技術>

 B社はタイヤの中に、発電機能を備えた加速センサー、温度センサー、圧力センサーを組み込み、タイヤ自身の状況を検出したり、路面状況を判別したりする技術を保有しています。自動車の一般利用者からみると、タイヤの摩耗や空気圧に関しては、車検の時にチェックするレベルで十分であると思います。逆に、そのレベルになっていることが望ましいと考えるのが普通です。(メンテナンスフリー) 一方、商用車、競技用途では、寿命ぎりぎり迄タイヤを使ってやろうとか、F1やラリー競技のように、路面状況によって頻繁にタイヤを交換する場合には必要な技術だと思います。 

 ただ、この技術がタイヤ以外のビルの免振ゴム、エンジンなどのマウントゴムなどに展開されることは十分あると思います。(または、すでに展開されていると思いますが) ゴム製品が単に振動吸収の機能を持つだけでなく、振動を検出するセンサーとしても使えます。センサー情報を分析して寿命を推定したり、異常を予兆したりとIOTの重要部品として展開できると思います。将来的には免振ゴム、防振ゴムにはこれらセンサー機能が当たり前となってくると感じました。

<タイヤ製造における自動化、IOT、AI技術>

 タイヤの製造はトレッド、プライ、スチールベルト、ビードなどのタイヤを構成する素材を各々の工程で製造した後に、「部材工程」で各素材を中間部材にします。「成型工程」において部材が組み合わされて、生タイヤができます。「加硫工程」にて熱と圧力を与えることにより最終製品の形となります。以降「検査工程」を経て出荷となります。

 B社はこの中で、「部材工程」「成型工程」「加硫工程」をモジュール化した全自動システムを構築し、稼働中です。全自動ということで各モジュールは100を超えるセンサーを装備して、そこから得られる情報に基づいてエラー検出や自動補正をしているとのことです。重要なのは全自動化を進めたことにより、品質の安定した製品を製造すると同時に、品質の良い情報(センサーデータ)を得られることです。将来的にこの情報を使って、機械学習し、AI分析へとつながります。B社は品質コントロール、プロセスコントロール、エネルギーコントロール、生産コントロールをAIで制御しようと考えています。実行に当たっては多くの課題があると思いますが、そこに向かっての下地はできていると思います。

<全自動化ができていないとAIができないでしょうか>

 ものづくりのシステムがしっかりできていれば、全自動でなくてもAIはできます。ただし、必要な情報を得ることが大前提となります。全自動のいいところは省人化の効果と品質の安定化にあります。注意しないといけない点は、頻繁な工程変更に柔軟に対応できるかといった事です。省人化は改善活動、半自動化でもできます。品質の安定化はAIを駆使しましょう。トータルで効果を考えればいいと思います。

参考資料

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2016052502.html

https://nissenad-digitalhub.com/articles/ai-for-tire/

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/library/process/pdf/process_01.pdf

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/759137.html

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/735194.html

https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/732/282/html/15.jpg.html

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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