349ものづくりの基礎(生産管理システム)
日経ものづくり2021/4号に「ものづくりの基礎が危ない」といったタイトルで次のような記事が掲載されています。
ものづくりに関する技術者の基礎的スキルや知識の低下は、危機的なレベルになっている。そう考える技術者が多いことが日経ものづくりの実施したアンケートで明らかになった。~中略~ 世界市場での厳しい競争を勝ち抜くため、ほぼ全ての製造業が低コスト化や開発期間の短縮といった効率化に取り組んできた。価値を生み出さないムダな作業を、標準化や共通化、デジタル技術の活用によって極力減らしていこうという取り組みである。しかし、こうした取り組みは技術者の基礎力低下を招く懸念がある。
以上 日経ものづくり2021/4号抜粋
さらに記事は次の10のキーワードを取り上げ、解説しています。「ポンチ絵」「デザインレビュー」「モジュラーデザイン」「生産管理システム」「受注生産と計画生産」「安全在庫」「パレート図」「強度と剛性」「焼き入れ・焼き戻し」「工程能力指数」。ここでは、「生産管理システム」にまつわる過去の経験について記述します。ちなみに、生産管理システムとは、生産に伴う現品、情報、原価(価値)の流れを等が統合的かつ総合的に管理して、「生産の管理」を系統的に実行するシステム。生産管理は、人、モノ、カネ、情報に基づき需要予測、生産計画立案、生産を実行する手続きと活動。です。
生産管理をはじめシステムを導入する際、大きな課題の1つに多品種少量生産への対応が挙げられると思います。品種が増えるだけでなく、複雑化する製造工程、人、機械、在庫などを整理することが出来ないため、システム化が進まないといったことも考えられます。したがって、システム化する前にしておかなければいけないことがあります。過去にロボットシステム(自動化システム)を検討した際の経験を次に記載します。
以前、携帯電話製造のサブ組立ラインの自動化に取り組んだことがあります。そのラインはメイン基板にフレキシブルプリント板を接合するラインでした。接合作業は大型の専用設備で行いますが、部材の供給、接合後のメイン基板の取り出しは作業者が行っていました。
ご存じのように、携帯電話は多品種対応となるため、専用設備の接合部のアタッチメントを機種に合わせて交換する必要があります。これも作業者が行います。さらに、10本程のメインラインに対して、専用設備を有するサブラインは2ラインしかなかったので、サブラインへの部材集約はもちろん、メインラインへの分配も煩雑となっていました。
当初工場側は、この専用設備への部材供給と専用設備からの部材の取り出しをするロボットを増設する予定でした。この作業に当たっては、6自由度のロボットが必要であることは、作業分析からわかっていましたが、多品種に対応したハンドリング、部材の配置のばらつきなど、難易度の高い課題が山積みでした。
そこで逆に、このロボットが持っている機能に合わせて、供給トレイの見直し、レイアウトの見直し、作業動線の見直しなど、サブラインの見直しをしました。当初サブラインの運用は作業者7名で行っていましたが、見直しをかけることによって、ロボットがなくても3名体制で運用できることが分かりました。
以上のように、生産管理システム、自動化システムといったコンピュータやロボット導入の前に、ものづくりの基本である生産システム(ムリ、ムダのない仕掛け)を再度見直すことが大切です。
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