282工程能力と品質改善
ある品質基準を満たした製品ができる能力を判定する工程能力指数について、日刊工業発行 「トコトンやさしい品質改善の本」に以下の様に記載されています。
管理された状態にある工程の持つ品質達成能力を工程能力と言います。均一かつバラツキの少ないで製品をつくる工程の能力を言います。
面積(㎡)、温度(℃)、長さ(㎝)、重量(ℊ)などで表される製品品質の特性値を6σ(シックス・シグマ)で割った値を工程能力といいます。製品をサンプリングして品質特性を計測しますと、そのデータの分布は一般的に正規分布になります。正規分布から標準偏差σ(品質のバラツキを表すシグマ)を計算し、工程能力指数を求め工程の善し悪しを評価します。均一な製品をつくることができる工程は「工程能力がある」という言い方をします。
〜中略~ 工程能力指数とは[Cp=公差÷6σ]とだけ理解すれば十分です。常時、自社の工程能力指数を測定しされたら良いと思います。もし、設計公差が8σであれば、そのとき工程能力指数は[Cp=8σ÷6σ≒1.33]となり、よく管理されたバラツキのない工程となります。
<要点>
・4Mの適切な管理が良い工程能力を生む
・工程能力指数は自社の工程レベルを表す
・工程能力管理とは日常業務の適切な管理
「トコトンやさしい品質改善の本」日刊工業新聞社 発行 より
製造工場においてIoT/AIを使って品質改善い取り組む手順として、データの診断、収集、統合、分析、運用があります。データ診断の中にはデータの棚卸と要因分析が含まれています。ここではQC工程表を使ったデータの活用の仕方について記載します。
前述の通り、QC工程表には各工程での品質管理項目が記載されています。最初の工程から最後の検査工程まで順を追ってデータを棚卸すれば、管理項目を漏らすことはありません。棚卸されたデータは工程と時刻のマトリックスに整理できます。
たとえば、横軸に工程、縦軸に時刻のマトリックス表を作成します。工程1の管理項目が温度であれば時刻0:00→20℃ 0:10→21℃ 0:20→19℃といった具合にプロットできます。工程2の管理項目が電流であれば時刻0:00→2.0A 0:10→2.2A 0:20→2.1Aといった具合にプロットできます。マトリックスの一覧表にしておくことで、データの有無、不足もよく見えると思います。
縦軸を見ると各工程の管理項目のバラツキ、平均を時系列で見ることができます。周期的なバラツキか、ランダムなバラツキか、ドリフトがないかを分析します。さらに工程能力指数(Cp)をチェックすることでどの工程のどの管理項目に問題であるかが数値で示されます。問題点が見えるようにして、4M視点で原因を究明します。工程能力指数は管理項目が温度であっても、圧力であっても、何であっても同じ基準で比較できる点が優れています。(学校の偏差値と同じです)
個々の製造品は工程を通過した時刻に沿って、管理項目のデータをつなげます(製品の品質のトレースを作成)。全ての製造品のトレースされたデータを使って、たとえば多変量分析で、管理項目値の最適化を図ったり、機械学習させて、歩留まりを予測したり、とデータの活用が展開されます。
尚、データ量の不足や、データの欠損に際して、補完や移動平均などの処理を行う場合があります。が正しい分析結果を必要とする際は、データの質、量のリッチ化に向けた取り組みが重要となることは間違いありません。
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