274 USBとプラグイン

 ドイツ標準化ロードマップ Industrie 4.0 Version 4解説書がIEC/SyC SM国内委員会から発行されました。「本標準化ロードマップはDIN/DKEおよびドイツ国内の標準化の取り組みを内外にアピール、プロモートする媒体としての役割も担っているが、産業用のIoT活用という視点でドイツ国内や欧州に閉じたものでなく、広く世界に理解と協力を呼び掛けた内容になっている。」「この標準化ロードマップに記載してあることからどれだけ具体的な将来像やユースケースを理解していくかがまず第一歩と思う。」とあります。この解説書の中に次のようなコラムが記載されています。

コラム1. USB Standard for Industrie 4.0

 一連のドイツ標準化関連文書でよく登場する表現である。「Plug & Produce」と表現されることもある。PCにおけるUSBのように、着脱すればシステムがそれを自動認識し、全体で整合を取って動作する。この姿をものづくりの一連のバリューネットワークの中でも実現しよう、という表現である。

 例えば、生産ラインに於いて設備を交換する際、設備の処理能力をアップグレードする際など、何らかの変化をシステムが自動でとらえ、関連システムが自動的に調整していく、ということである。言葉で書くのは簡単だが、実際にできるのだろうか?現在の自分たちのプロセス、オペレーションをひとつずつ追ってみて、体系化、形式化されていないアクションはないだろうか?ドイツではこれらと愚直に向き合い、考える作業を繰り返し行っているように感じる。

 以上 解説書より

 この中の「Plug & Produce」と同じ考え方で自動の組立システムを設計したことがあります。それが多機能組立システムです。

〈多品種変量生産の課題と開発方針〉

 多品種変量生産に対応する混流生産ラインでは機種変更のため段取り替えが必要となります。マニュアルラインでは治工具、試験プログラム、供給部材の入れ替えを1分以内で行います。繁忙期と閑散期には1工程当たりの作業量を変動させます。さらに日々の改善活動による標準作業の変更のため、作業手順の組み替えが必要となります。したがって作業変更への自由度を確保しながら自動化を進める手法の確立が課題となります。

〈主要組立要素〉 

 ロボットで複数の作業をする場合、複合ハンド方式も考えられますが、自由度の点でツール交換方式が有効です。この方式において、最も重要な機能ユニットがツールチェンジャであり、ロボットのエンドエフェクタとして搭載されます。ツールには貼り付け、組み付け、接着剤塗布、検査プローブなどがあり、必要に応じてロボットが交換作業を行います。多機能組立システムでは、ツールを0.9秒以内で交換できます。また、ツールへのパワーサプライは真空2系統、圧気2系統を備えていて、必要なツールが搭載されていれば、段取り替えや作業の変更は全自動で行うことができます。

〈組立要素のシステム化〉

 ロボット本体は高速、高精度を兼ね備えているパラレルリンクロボットを選択しました。システムの設備化にあたり、現状のマニュアルラインの作業性を考慮し、フットプリントは700mm×700mmとしました。

 ワーク供給は混流生産に対応するため、2ステージを持った回転テーブル型の搬送ユニットを作業者側(システムの前面)に配置しています。パーツ供給はライン作業者と干渉しないように、システムの後面に配置しました。また、段取り替えに伴う頻繁なパーツ交換に対応するため、供給機をユニット化し、プラグイン機能を施しました。これによりパーツの交換に伴う工数を大幅に削減することができました。

 ワークとパーツのばらつきに対応するため、視覚認識機能(カメラ)を搭載しています。ワークを認識するカメラは上方から見下ろせる位置に固定し、パーツを認識するカメラは下方から見上げる位置に固定しています。

 これらに先のツールチェンジャを搭載し、多機能組立システムを構成しました。このシステムは、既存ラインのマニュアル作業との親和性に優れ、多品種変量生産の自動化、ロボット化を可能としました。

 参考資料https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj/33/5/33_33_314/_pdf/-char/ja

以上、本ブログ№043 から抜粋

 上記に「段取り替えに伴う頻繁なパーツ交換に対応するため、供給機をユニット化し、プラグイン機能を施しました。」とあります。各供給ユニットにはCPUとして小型のプログラマブルコントローラが搭載されており自律でコントロールできます。ロボットとの情報のやり取り(I/O)は「Ready」「Busy」「Error」「Empty」の4つの信号で行われます。その信号は共通コネクタの決められたピン番号に割り付けられています。これを多機能組立システムの標準規格としました。メインのシステムコントローラや各ユニットのコントローラにUSBが搭載されていれば、共通コネクタとしてUSBを使えば冒頭のコラム1. USB Standard for Industrie 4.0が実現できます。

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