250レトロフィット技術(その3)
「インダストリー4.0」「工場IoT」がもてはやされるようになって久しいが、稼働状況のデジタルデータを取得するインターフェースがない設備を抱える工場は多い。古い設備を使い続けている中小工場は特にそうだ。かといって、現業に十分役立っている設備をそのためだけに更新するのも本末転倒だ。
こうした設備の稼働状況を把握するために、配電盤や制御盤のアナログメーターや表示灯をカメラで撮影し、AI(人工知能)を使った画像処理技術などでデジタルデータ化して取り込む「レトロフィットIoT」が以前から提案されている。既存設備の大がかりな改造が不要で、どんな設備にも原理的には対応可能な利点がある一方、設備ごとの個別対応が必要でシステム構築に手間が掛かるうえ、機材が高価なのが従来はネックで、特に中小工場にはハードルが高かった。
こうした課題はAIの汎用化や無償で使えるオープンソースソフトの充実、安価な小型PCボードの登場、パソコン用カメラの低価格化などで解消されつつある。栗田産業はIoTデータの可視化サービスなどを手掛けるアンビエントデーター(東京・世田谷)の協力を得て自社鋳造設備向けにレトロフィットIoTを構築。設備の稼働状況を自動把握するシステムを2020年春から稼働させている。
「古くてアナログな設備ばかりだが、配電盤や制御盤には稼働状態を示す表示灯やメーターが付いている。これを撮影して取り込むのが手っ取り早いと考えた」(栗田氏)。現場の作業者にとっても見慣れたデータなので、取り込んだ後に遠隔で監視したり、状況を把握したりしやすいという点もメリットだった。
システム構成はシンプル。設備の配電盤や制御盤の表示灯やメーターをWebカメラで撮影し、それをラズパイ上で画像処理して数値データに変換。工場内のLANを介してクラウドにアップ。アンビエントデーターのIoTサービス「Ambient」で解析して可視化している。~以下略~
以上、日経XTECH 2020.11.19 ニュース解説より
プロセス工場には多くの旧式設備を稼働させているケースがあります。IoT/AIを進めるに当り、上記例のような取り組みができる、できないは他社との差別化ができる、できないにつながります。自身で開発ができなくても、下記のようなツールも提供されています。検討の価値は十分あると思います。
レトロフィット技術といった言葉を聞いたことがあると思います。プロセス系の工場は作業者が計器類を読み取り、データ収集を行いまいます。自動的に収集できるように最新の製造設備に入れ換えればいいのですが、プロセス系の工場の設備は高価であること、設置、調整など導入に多くの時間がかかり、製造ラインを長期間停止させなければいけないといった理由から、旧式の設備を使い続ける工場が多いと思います。そこで、作業者が読み取りしている計器類をカメラで常時読み取り、データを収集することで、旧式設備であっても自動的にデータを収集できるようにするのが、レトロフィット技術です。
この技術には2種類のシステムがあり、専門メーカーから購入することができます。
・ネットワークによるデータ収集…必要とされているデータを表示している計器類のメーターまたは数値をネットワークカメラで撮影し任意のサンプリングタイムで自動的にデジタルデータに変換します。変換されたデータはネットワークを通してサーバ―に格納されます。リアルタイムに状態を監視ができるのが特徴です。
・スタンドアローンによるデータ収集…機器類のメーター数値をスマホで撮影し、任意のサンプリングタイムで自動的にデジタルデータに変換して、スマホのメモリーに格納するシステムです。ネットワークを構築する前に、有効なデータが収集できるか否かを判断する場合に使う安価なシステムです。(ソフトはスマホにインストールされます)
以上のレトロフィット技術は、24時間無人稼働が可能ですが、下記課題があります。
・カメラで撮影する関係上、照明などの環境変化に対応する仕掛けが必要です。
・カメラの読み取り条件(距離、角度)に適合するように、環境整備する必要があります。
いずれにしても、全計器類にカメラを設置することは、コスト面、運用面で得策ではありませんので、収集するデータの必要性を事前に検討しておくことが重要です。
尚、現在読み取れるメーターは、針型のアナログメーター、7セグ、フロートメータ等です。
参考資料
https://www.fujitsu.com/jp/group/kyushu/imagesgig5/amr-edge-v1.pdf
https://www.fujitsu.com/jp/group/kyushu/imagesgig5/introduction-amr-edge-v1.pdf
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