223茶殻と見える化

 昔まだ小さかった頃のある日、祖父母の家に一人で泊まったことがありました。朝、目が覚めると、手ぬぐいをほっかぶりして、着物の裾を少しまくってその先を帯にはさんだ姿の祖母が茶殻を畳に撒いていました。「おばあちゃん何をしているの?」と尋ねると、「夜越しのお茶は体に毒だから、こうやって畳に撒いて箒で掃くんだよ。そうすると、ほこりが茶殻について、きれいになるんだよ。」と優しく教えてくれました。昔の人の知恵はたいしたものだと子供ながら感心した覚えがあります。

 “茶殻 掃除”でググってみると、案の定、気の利いた記事が何件かヒットしました。

 「日本茶や紅茶を飲んだ際に必ず出る茶殻は、玄関や畳の掃除に再利用できます。使い方は簡単!茶殻を軽く絞ってから玄関や畳に撒き、そのままホウキで掃くor掃除機で吸うだけ!適度に湿った茶殻がホコリや汚れをしっかりキャッチしてくれて、ホコリを舞い上げないだけではなく、消臭効果も発揮してくれるため、嫌なニオイも防いでくれます。また、お茶に含まれるカテキンの抗菌・殺菌作用で、より清潔に掃除ができるという効果も。掃除の後に、ほんのりとお茶の香りが玄関や和室に漂うのもいいですよ!もちろん、コーヒーかすでも代用可能です。」

 https://casy.co.jp/fblog/life/13032.html

 「茶がらを出汁パックに入れます。水出し煎茶などをつくるときに大活躍の出汁パック。今回は発想を逆にして、使用済みのお茶がらを、新しい出汁パックに投入! です。出汁パックでシンクをキュキュっと磨きます。お茶のカテキンには、抗菌作用がありますので、シンクの除菌に効果を発揮してくれます。しかも、手荒れの心配なし!」

 http://www.oomorien.co.jp/column/detail.php?id=12

 と茶殻の掃除の素晴らしい点が見えてきました。上記にはありませんが、他の掃除との最も大きな違い、素晴らしい点は見える化だと思います。茶殻が残っているところはまだ掃除をしていないところ、茶殻がない所は掃除が終わった所と見た目ですぐにわかります。見えないほこりの見える化がされています。

 製造の現場においても、見えないものをみえるようにします。特にプロセス工場では工程の品質管理をするために、温度、圧力、濃度などを計測してメーターに表示(見える化)します。表示された値を規定値と合わせるようにチューニングします。温度、圧力などは容易にリアルタイム計測ができます。厄介なのは濃度です。プロセス工程の中には、ワークを溶液に浸けて、化学反応、電気反応により加工する工程が多くあります。そこに使われる溶液の濃度はサンプルを採取して測定するためかなりの時間がかかり、リアルタイムとはいきません。濃度値が低い場合には、溶液に材料を追加しますが、サンプルの採取時からのタイムロスがあるため、規定値に合わせることはベテランの勘と経験に頼ることとなります。

 材料の中に茶殻となる成分を一緒に入れて、液槽の中で茶殻となる成分を液中パーティクルカウンタで計測すれば、リアルタイム計測が可能になると常々思っています。そんな技術開発ができることを期待しています。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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