220統合制御
「自動化ロボットに革新、O社が統合制御の『切り札』投入」といった記事が日経XTECHに記載されていました。下記はその一部を抜粋したものです。
自動化システムでは、PLCが全体を制御する役割を兼ねることが多く、そこにロボットおよびロボットコントローラーがぶら下がる構造になる。PLCから見れば、異なる時間軸で動作するロボットを待つ形になるので、実現できる速度や精度には限界がある。加えて、自動化システムの構築に当たっては、ロボットの動作とPLCで制御する部分の動作をそれぞれ作り込んだ上で、ロボットコントローラーとPLCを接続し、同期を取るなどの作業が必要となる。時間や手間がかかる要因にもなっていた。
両者を統合した新型コントローラーでは、ロボットを他の機器と同様に扱える。オムロンは詳細を明かさないが、逐次実行型制御プログラムをスキャンタイム内で実行できるような処理を加えた上で、サイクリックスキャン型制御プログラムの一部として走らせるイメージだという。
日経XTECH 2020.10.20 より
ロボットコントローラーとPLCの同期をとるといった点で、今までと違ったシステム構築ができると思います。一方で、システム変更、追加などが頻繁に発生する場合は、機能の追加削除が簡単にできる分散型のシステムも必要だと思います。下記のその例を掲載します。
自動化設備を開発する時、早期に決めなければならない項目の1つに、集中制御にするか分散制御にするかがあります。自動化のシステムとは、ワークの搬送機構、パーツ供給機構、ハンドリング機構、組立機構、検査機構から構成されます。制御は、システム全体のシーケンスを制御するメインプログラムに、各機構のシーケンス制御(サブルーチンプログラム)がぶら下がる形となります。
メインプログラムとサブルーチンプログラムとのやり取りは、レディー、ビジー、エラーの3つの信号で行われます。ここで、メインプログラムとサブルーチンプログラム全体を1つの大型プログラマブルコントローラ(PLC)で制御する方式を集中制御と呼ぶこととします。一方、メインプログラム、サブルーチンプログラムの数だけPLCを用意して制御する方式を分散制御と呼ぶこととします。
精密電子部品をワークに接着する自動化システムを若い時に開発したことがあります。ワークの搬送機、パーツ供給機、パーツハンドリングロボット(SCARA)、接着剤塗布機、加圧機から構成されるシステムで、メインプログラム、各機構のプログラムの設計にそれぞれソフト設計者をアサインしました。システム構成上何ら問題はありませんでした。が、ソフトデバッグ作業が非常に大変でした。なんといっても、PLCは1台しかなく、設計者がかわるがわるデバッグをする必要がありました。同じく、顧客先での立ち上げ、不具合対応などでは、かなりの時間(工数)がかかってしまいました。
後に、プリント板に数種類のラベルを貼付し、小型部品を搭載する多機能組立システムを開発しました。回転型プリント板搬送機、パーツ供給機3種、ハンドリングロボット(ゲンコツロボット)、ツールチェンジャーから構成されるシステムで、それぞれの機構には小型のPLCを搭載しました。以前と同様、それぞれの機構にソフト設計者をアサインしましたが、並行にソフト開発ができました。
PLCの小型・低価格化が分散制御にした1つの理由ですが、以前においても、顧客へのサービス、トータル工数などを考えた開発をしていれば、自律型の分散制御になっていたと思います。
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