219日本で標準化が遅れている理由
先ごろ「ドイツ標準化ロードマップIndustrie 4.0 Version 4」が発行されました。
「将来の Industrie 4.0 プロジェクトを成功させるには、ドメイン境界や階層境界を越え、複数のライフサイクルフェーズにわたって、これまでにない高度なシステム統合が必要になることである。それは、コンセンサスに基づいた標準規格と仕様によってのみ達成できる。現在発行されている標準化ロードマップ Industrie 4.0 とともに、Standardization Council Industrie 4.0(SCI 4.0)は DIN および DKE と共同で、産業界の専門家や研究者、科学者、政治の専門家が分野を越えて、Industrie 4.0 の現在の開発状況を明らかにし、標準規格、仕様、業界標準の要件の概要を示し、成功への原動力となる、戦略的かつ技術指向のドキュメントを提供している。」とあります。
ndustrie 4.0を成功させるためには、国際的な標準規格と仕様の策定が重要となります。ドイツではドイツ規格DINを如何にISOに組み込んで、国際標準にするかに取り組んでいます。(ISO規格を如何にJISに取り込むかといった日本の取り組みとはだいぶ違うと思います) 国際標準化に向け、多くのユースケースを使い帰納的に標準規格を作り上げていく方法が重視されています。下記は「ドイツ標準化ロードマップIndustrie 4.0 Version 4」の抜粋です。
「基本的な推進要因としてのユースケースが策定され、明確に理解されていれば、新しい標準化活動は非常に有用になるという点については国際的コンセンサスが高まっている。その点において、Industrie 4.0 との関連におけるユースケースの国際的に統一された理解は、標準化作業の中心的な出発点となる。ユースケースは、製造業が直面している困難な課題と、それに対応可能な技術的ソリューションとを結び付ける橋を築く手段である。ユースケースは、標準化のための新しい要件を導き出す可能性ももたらす。」
一方、日本で標準化が遅れている理由が牧野先生の著書の中にありました。
たまたまアメリカに行ったとき、スワンソン・エリー社を見学する機会を得たので社長に質問してみた。同社は回転形や直進形のさまざまな標準ベースを持っている。
「いったい、この標準ベースは誰がいつ整理して図面にまとめるのでしょうか。」
この質問を受けたスワンソン社長はけげんな顔付きをした。
「最初1台注文を受けて設計するときには、それはもう標準品です。あとの人はなるべく前の人の設計したものを利用しようとしますから。だってその方が早く設計できるし、実証されているものを使えば確実ですから。」
これと同じ質問を日本の自動組立機械メーカーの社長に聞いたら、たぶん全然違う答えが返ってくるだろう。
日本で標準化の遅れている理由はこうした考え方の違いにあるものと思われる。
「裏返しのメニュー」情報調査会 から一部引用
次世代のスマートファクトリーやスマート社会に向けて、画期的な実績をひっさげたプロダクトやシステムがあって、認められ、自然と展開されるといった流れがないと、標準化は難しいのかもしれません。
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