215中華料理店と4M

 ものづくりの普遍のテーマであるQCD-ESの改善をするに当り、グループ会社の工場や他社の工場を見学し改善のヒントを得ようとすることがあると思います。しかし、製造工場を見学しても、限られた時間内にものづくりを理解することは容易でありません。そういった場合には、街角にある中華料理店のカウンターに座って料理の様子を観察したらどうでしょうか。ものづくりに関するいろいろな情報を容易に得ることができると思います。4M(Man、Machine、Material、Method)の観点で中華料理店とメッキ工場を比較してみました。

<中華料理店>

 Man:(オフライン作業)食材ストックから肉、野菜、魚介類を取り出す。食材を洗う。決められた大きさにカットする。残った食材はストックへ戻す。端材で中華スープを作る。(ライン作業)中華鍋をガスレンジにセットする。油を注ぐ。食材を炒める。調味料と中華スープを入れる。食材の色、匂い、音、硬さ、味の変化を常時監視する。皿を用意する。皿に料理を盛り付ける。中華鍋を洗う。

 Machine:火加減を調整された数台のガスレンジが常時スタンバイされている。冷蔵庫、冷凍庫、ストッカーで食材の温度、湿度管理をしている。

 Material:野菜、肉卵類、魚介類、乾物、調味料(塩、醤油、酢など)、添加物(片栗粉)

 Method:それぞれの中華料理のレシピ。八宝菜の場合:食材(白菜、豚肉、玉ねぎ、人参、椎茸、筍、海老、イカ、うずらの卵、キクラゲ)を、調味料、添加物(酒、醤油、砂糖、片栗粉)、中華スープを使って、決まった量、手順で調理する。火加減、調理時間なども決まっている。

 中華料理店では、日々バラツキなく4Mを行うことで、いつもの味を時間通りにいつもの値段で私たちに提供してくれます。

<メッキ工場>

 Man:メッキ槽の温度、流量、濃度、電流値などをそれぞれの計器(メーター)から定期的に読み取る。読み取ったデータを記録する。データが基準値を外れていたら調整する。メッキ液を継ぎ足す。添加剤を投入する。定期的にメッキ槽をメンテナンスする。

 Machine:プリント基板などのワークを一定時間浸漬させるとメッキが自動的に生成される自動メッキ槽。

 Material:メッキ液、メッキ生成加速添加剤、メッキ生成抑制添加剤

 Method:ワークに合わせて、温度プロファイル、電流プロファイルが決まっている。メッキ液の濃度が決まっている。添加剤の量と投入タイミングが決まっている。

 以上、メッキ工場でも中華料理店と同様に4Mの管理を徹底すれば、予定通りのメッキ品質を提供することができます。もし品質のバラツキが大きいのであれば、中華料理店の4Mとの違いを比較することで原因が分かるかもしれません。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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