202ものづくりデータサイエンティスト

 「ビッグデータがもてはやされ始めた2010年代初め、ある製造業のベテランがこう言い放った。『製造現場のデータは、見る目のある人が見れば分析なんかしなくても意味は分かる。ものづくりの現場を知らないデータサイエンティストなんて必要ない』。時間をかけてデータを分析した結果が、大方想像できた結論とそう違わないのでは、データサイエンティストなど不要と感じるのも無理はない。」

 「その後状況は変わる。ビッグデータの背後にあるモデルを得る技術の1つとして機械学習が急浮上。機械学習はデータから統計的モデルを得る技術として利用できる。データから知見を得る意味で、今日データサイエンティストとAI(人工知能)人材は同じカテゴリの人材とされ、世の中の企業が奪い合う状況だ。」

 「機械学習をはじめ、データサイエンスの最先端では新しいアルゴリズムの開発が日進月歩で進む。その成果を製造業で役立てないのはもったいない。現場を知らないデータサイエンティストが役に立たないなら、現場を知る人、データを見て分かる人がデータサイエンティストになればよいのではないか─。それが『ものづくりデータサイエンティスト』だ。」

 日経 XTECH/日経ものづくり 2019.09.30 より

 「データ分析でより良い結果を得るためには目的に合った質の良いデータが必要となるが、これを検証するには今のところ、試しにデータ分析をやってみる以外に方法は見当たらない。これらのデータ分析は、このデータの発見を効率的に行うことが求められる。その手段として、ものづくりの現場にいる人がノウハウや直感で見つけたデータの質が良いかどうかを、AI技術を用いて確認する仮説検証型アプローチが得策である。実際、品質改善で成功している多くの企業はこのアプローチを採用している。」

 「また、これまでのデータ分析は、多大な時間と費用がかかっていた。原因はデータサイエンティストがデータの中身や使われ方、あるいは加工の仕方を理解するにあたって、ものづくりの現場にいる人に何度もヒアリングを行う必要があったからである。言い換えれば、現場のエンジニアが簡単にデータ分析できるツールが必要とされている。COLMINAデータ分析ナビゲーションは、この課題を解決する手段の1つとして開発したツールである。」

 「工場・製造プロセスのIOT・AI導入と活用の仕方」㈱技術情報協会 より

 製造業の中にAI技術を導入して品質改善のサイクルを作るためには、ものづくり現場の知見とデータサイエンティストのスキルが必要になります。以前、IoT/AIのフィージビリティースタディーで取り組んだプリント基板製造の品質改善では、ものづくりエンジニアが前記のCOLMINAデータ分析ナビゲーションで機械学習の統計手法の1つランダムフォレストを使用しました。データサイエンティストの手をほとんど借りることなく数万データを取り扱って、製造品質の異常予兆の精度向上に取り組むことができました。

 データサイエンティストがものづくりを理解することは難しいと思います。ものづくりエンジニアが前記のようなツールを使うことでデータを分析することは可能であると思います。

参考資料

https://www.fujitsu.com/jp/solutions/business-technology/intelligent-data-services/ba/product/operational-data-management-and-analytics/da-navi/

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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