103自動組立設備の設計(その2)
前のブログで自動組立設備の3つの原則を使って、チップ実装機を検証しました。ここではブログ№43で紹介しました多機能組立システムを検証してみます。
このシステムは、多品種少量生産やライン変動に柔軟に対応することを目的に開発したものです。ロボットを中心にしたシステムで、対象とする組立作業は、SMTラインの後工程です。プリント基板に実装されたパーツへの絶縁シールの貼り付け作業、パーツに接着剤を塗布する作業や、導通チェック作業などを行います。
パーツの供給はロール供給とパレット供給が可能です。ワークの供給には2種類の組立パレットが備え付けられ、それをターンテーブルで入れ換えします。ハンドはシール吸着ハンド、保護キャップグリッパー、接着剤塗布用ディスペンサ、導通チェック用プロ―バなどがあり、自動ツール交換機能(ATC)も装備しています。ただし、ワークのロード、アンロードは作業者が行います。
<ツール専用性の原則>
ツールを2つに分類します。1つはロボットが作業する時に使うハンド、もう1つはワークの位置決めと固定を行う組立パレットです。ハンドは前述の通り各種ありますが、シールの貼り付け作業に使う吸着ハンドを例にとってみます。シールもパーツに合わせて様々な形状があり、同じ吸着方式であっても、吸着パッドの形状はすべて異なります。対象となるシールに合わせて、それぞれハンドを用意しATCを使って交換します。パレットは2種類あり、ターンテーブル上に搭載されており、ワークに合わせて切り替えます。
<パーツハンドリングの原則>
マニュアル作業で絶縁シートの貼り付ける場合は、作業者がシート状で供給されるシール(裏面に粘着性があるもの)をピンセットではがし、パーツへ貼り付けていました。ロボットの場合は、シールをロール状にして供給していました。典型的なつなげて供給する方式を採用していました。
<機械を高速化するための原則>
採用したロボットは6自由度を持つパラレルリンクロボットです。このロボットは駆動源となるモータ、減速機はすべて固定側に配置されており、減速機以降はリンク機構のみとなっています。原則である駆動側はガッチリ、従動側はスッキリの構成となっています。ちなみに、このシステムで3種類のシールを各3枚の計9枚をはりつけるためには、ハンドを3回交換し位置補正用のカメラによる9回の画像処理が必要となります。サイクルタイムは40秒で、ツール交換時間は0.9秒でした。
以上より本システムも、自動組立設備の3つの原則に沿った構成となっていることが分かりました。
参考資料
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj/33/5/33_33_314/_pdf/-char/ja
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