002ギア比
自動車に興味のある方であれば、カタログで一度は減速比の一覧表をご覧になったことがあると思いますが、なぜ減速比は割り切れない数値になっているのだろうか? と考えたことがおありでしょうか。1速:3.296… 2速:1.058… 3速:1.348… 4速:1.0 5速:0.725… 6速:0.582… R:2.951… といった具合です。
割り切れないということは、素数の関係にあるということです。機械は力を伝達する場合、ギア、タイミングベルト、チェーンなどを使います。ギア(歯車)の場合を考えてみます。例えば6枚歯と12枚歯の歯車を組み合わせると、速比は0.5となり割り切れます。これは、言い換えると決まった歯同士があるタイミングで、繰り返し接触することを意味します。その結果、長期に回転すると同じところが摩耗することになります。(カタベリ) 一方、7枚歯と12枚歯の組み合わせると速比0.5833…となり割り切れません。この場合、すべての歯が均等に接触するためカタベリは起こりません。
逆に言うと、機械設計者はわざと割り切れないギア比を使って、設計しているのです。デジタル化が進み、割り切れる生活をしていると見落としてしまうような、アナログのやさしさを機械設計者はもっているということです。
さらに付け加えると、カタベリする歯車の場合、それを見込んで歯厚を増したり、強度を増した材料を使ったりすることになります。小型化、軽量化を妨げる要因にもなってしまいます。
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