503自動組立設備の設計(その1)
自動組立の権威である牧野先生の著書の中から、自動組立にまつわる原則を3つピックアップしてみました。
<ツーリングの専用性の原則>
ツーリングは基本的に言って、そのワークに対して専用のものであり、ワークが変わればツーリングを変えなければならない。たとえ機械は共通に使えたとしても、ツーリングは変えなければならない。これは近代工作法の基本である。~中略~ たとえば、ロボットのハンドにしても、どんな形のものでも掴める汎用の手というのが研究されている。私はこれには反対である。そういう汎用のハンドでよいものは1つもなかった。もしあったとしたら、それは対象を限定して、ある限られた形および寸法の中での汎用性だけを目指したものであった。
<パーツハンドリングの原則>
パーツハンドリングの原則の第1は、パーツハンドリングをなるべくしないこと。そのために、部品をなるべくつなげて使うことである。つながっているパーツはばらばらに切り離すな。ばらばらになったパーツはつなげて使え…これがパーツハンドリングの原則の第1である。
<機械を高速化するための原則>
よく聞かれる質問に「機械を高速化するにはどうすればいいでしょうか」というのがある。エアシリンダをやめてカム駆動に換えるとか、サーボモータ―で動いている装置なら制御の形を変えるとか手段はいろいろある。しかし、それ以上に利くのは機械の構造そのものを高速向きに設計することである。高速向きの機械構造とはどのようなものか…それは「ガッチリとスッキリ」という言葉になる。~中略~ 動かす側(駆動部、カム機構の例でいえばカムより前)はなるべくガッチリと、そして動かされる側(従動部、カム機構の例でいえばカムより後)はなるべくスッキリと作る。…それが「ガッチリとスッキリ」である。
自動組立(実装)設備の1つチップ実装機が上記原則に当てはまるか検証してみます。
<ツーリングの専用性の原則>
実装するチップは0603 0402といったように大きさの規格があるにも関わらず、顕微鏡で覗いてみると、表面に段差があったり、角にRがあったりなかったり、様々です。したがって、チップを把持する吸着コレットもこれに対応できるように様々あることが分かりました。チップ実装機はチップに合わせ自動でコレットを交換しています。
<パーツハンドリングの原則>
みなさんご存じの様に、チップ実装機のパーツ供給方式はテーピングされており、パーツをつなげて供給する原則そのものです。
<機械を高速化するための原則>
チップ実装機用のロボットは門型の直交ロボットです。大型モータ、ボールねじなどの駆動系はベースにガッチリ固定されており、従動側は対象がチップであるためにスッキリとコンパクトなつくりになっています。
以上、チップ実装機は自動組立(実装)の原則通りの構造になっていると言えます。
はんだプリント、チップ実装、はんだ、検査といった一連の製造ライン以降の自動化において取り組んだ多機能組立システムについて、次回以降に検証したいと思います。
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