430自動化ライン(ティーチング)

 精密機器の組立は一般にCR(クリーンルーム)内で行われます。ある精密電子機器の自動組立ラインの開発を進めていました。組立工程、検査工程を含めて10工程くらいのラインでした。ライン開発に当たっては、各工程の設備開発に1名のエンジニアがアサインされプロジェクト体制を組んで進められました。

 以前の生産技術部門は大変な部門だったとつくづく思います。各工程の自動化の設備の設計(機構設計、配線配管設計、シーケンス設計)、設備の製造指導、製造後のデバッグ、信頼性評価(評価設備の用意を含む)、ドキュメント作成(取説、立ち上げ、日英対応)、現地導入(設備の設置とオペレータの教育)、導入後のサポートといった業務を1設備1名で対応していました。現在はかなり分業が進んでいると思います。

 製造現場への設備の設置、動作確認、チューニングは特に大変です。工場で生産活動がされていない就業後の時間帯、休日での作業となるためです。上記の自動組立ラインの導入も5月の連休中に行いました。工場は連休中のため、空調は効いていませんでしたが、プロジェクト関係者以外は誰もいなかったので、のびのび作業を進めていました。順調に作業が終わり、予定通り連休明けにはラインを引き渡すことができると考えていました。

 連休明け、工場の製造技術部門の立ち合いの下、ラインを稼働させました。散々な結果でした。ほとんどの工程でロボットの位置決めがずれていて、まともに組立ができない状況でした。

 原因は単純なものでした。休日中にロボットの位置調整(ティーチング)をした時の環境は空調がなく、休日明けのライン稼働時には空調が入っていました。温度差による、ロボットを含めた設備自身の熱伸縮現象による位置ずれであることは明白でした。

 単純なミスですが、ティーチング前にプロジェクトメンバーの誰一人も気が付かなった点が残念でした。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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