412 IoT AI(データ分析)

 ㈱技術情報協会から書籍「工場・製造プロセスのIoT・AI導入と活用の仕方」が出版されました。その中の「プロセス系工場でのIoT/AIを活用した品質改善への取り組み」について執筆しましたので、数回に分けて解説したいと思います。今回は8回目です。

<抜粋:データ分析1>

 分析に必要と思われるデータの準備はできた。次は、これらのデータを使って、どのようなときに品質不良が発生するのかを予測できれば、事前に設備のパラメータを適正なものにコントロールすればよいことになる。

 加工結果の予測は、予測モデルを生成するところから始める。予測モデルは過去に蓄積された加工条件と加工結果のデータをAI技術で学習することで生成される。入力するデータは要因分析に基づいて選定されているため、予測モデルにはベテラン技術者による加工条件のチューニング経験など現場のノウハウが含まれていることになる。この予測モデルに新たに加工条件を入力すると、加工結果の予測値がアウトプットされるのである。このようなデータ分析を行うツールとして、当社のCOLMINAデータ分析ナビゲーションというツールを活用した。私たちは約1年分のデータを収集し、300項目、30,000サンプル(データ統合後の有効サンプル数は3,000)のデータから予測モデルを作成し加工結果予測を実施した。

<解説>

 COLMINAは富士通㈱が提供しているものづくりプラットフォームであり、データ分析ナビゲーションはそのプラットフォーム上で使うことができます。

 ものづくり現場の人自身が使うデータ分析ツール:データ分析ナビゲーション for ものづくり(略称「DA Navi」)は、設備保全、品質改善(歩留り向上)を目的とした「ものづくりの現場で働く人自身が使用する」データ分析ツールです。本ツールを使用することで、データ分析経験の少ない「ものづくり」の現場の人自身が、「設備稼働率の向上」や「製品歩留りの改善」のためのデータ分析を実施でき、さらにものづくりに有益な知見を得られます。 (富士通)

 本ツールによるデータ分析は、ベンダーに依頼した場合と比較して、当社データサイエンティストの知見を活用したデータ分析を、社外にデータを持ち出すことなく、一定の導入費用で繰り返し実施できます。さらに、データサイエンティストの分析プロセスを経験することで、社内のデータ分析人材の育成とデータ分析ノウハウの蓄積につなげることができます。(富士通)

 分析ツールは各社から提供されています。導入する側が何をしたいのか、実行に当たって何が必要なのか課題をばらし、自社にあったツールを導入することが大切だと思います。

<追記>

 解説の中に、データ分析ナビゲーション for ものづくり(略称「DA Navi」)は、設備保全、品質改善(歩留り向上)を目的とした「ものづくりの現場で働く人自身が使用する」データ分析ツールです。とあります。データサイエンティストがものづくりを勉強してデータ分析してもいいはずですが、これには膨大な時間がかかります。

 ものづくりの現場には、カンコツによる部分が多く含まれるため、それを習得するためには、ものづくりの現場でカンコツを養わなければなりません。一方、データの分析は統計学を含めロジックの世界です。そのロジックを勉強すればできるようになります。したがって、ものづくりの現場で働く人自身が分析を行う方が理にかなっているという訳です。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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