397食品ロス(フリーズドライ)
先日NHKでフリーズドライを話題とした番組を見ました。山梨の農家はここ数年来、雨、風、雹による農作物への被害にあっています。ダメージを受けた農作物は、味、大きさなどの問題はないものの、見た目がよくなく商品としての価値がありません。結果廃棄することになります。その中で果樹園を経営しているある農家では、高級外車が購入できるほどのフリーズドライの設備を購入して、この問題に挑戦しているといった内容でした。
その農家では桃を育て収穫し夏の時期に出荷をしていました。最近の雹の被害により商品価値がなくなった桃を一口大に切って、フリーズドライ設備に入れて24時間かけ桃のフリーズドライを作ります。(ちなみに最近のフリーズドライの技術は飛躍的に向上しているとのことです。桃のフリーズドライをそのまま口に入れると、桃のフレーバが口いっぱいに広がり食感もあるとテレビに出演していたゲストが実食してその感想を話していました。中には焼き鮭をフリーズドライしたものもあり、お湯をかけ3分待つと普通のものと遜色がないとのことでした)。その農家は桃のフリーズドライをビンに詰めてオールシーズン販売しているとのことでした。生ものとは違い日持ちするため、季節、国内、海外関係なく販売できる点は従来の桃にはなかった価値です。
工業製品も不良転じて財を成すようなことがないでしょうか。以前、ハードディスクドライブの自動組立ラインを開発、導入した経験があります。その中で不良品を救済する機能を付け加えたことがあります。ハードディスクはその容量に応じて円板の搭載枚数1枚~6枚で対応していました。円板は表裏2面が記憶媒体となりますが、円板の製造上、表面または裏面に不良があり片面が使用できない場合が発生していました。この場合片面だけでも製品として使い、円板の廃棄を極力減らそうといった考えが出てきます。結果、0.5枚、1枚、1.5枚・・・といったように品種が倍となり顧客の選択肢が増えました。幸い、自動組立ラインはプログラムの変更のみで対応することができました。
本来あるべき姿は、不良を減らすためにはどうすればよいかを追究することだと思います。ただ、不良が出てもそれをうまく活用して、従来と同じレベルの価値を出すことができればベストです。また、製品の価値が下がったとしても、消費者にとって都合がいいものであれば、消費者の信頼を得ることができると思います。トータルの価値が従来と同等以上となるように考えることも必要です。
リアル世界は誤差や予測不能なことがたくさんある世界です。だからこそIOT、AI技術を使って先を予測したいとの期待が高まるのだと思います。果樹園の農家でも1週間前に天気予報で雹が降ることが分かれば、いくらでも対策の仕方があると思います。
0コメント