394自動組立設備の原則(HDDネジ締め機)

 前ブログに引き続き自動組立設備の3つの原則で、HDDネジ締め機を検証しました。

 過去にハードディスクドライブ(HDD)の自動組立ラインの開発を経験したことがあります。この組立工程の中にカバー(蓋)取り付け工程があります。主作業は7軸同時ネジ締めです。ハードディスク本体のケースとカバーの間にゴムパッキンを挟んだ状態でネジ締めを行い、トルクのばらつきは10%程度に抑えることを要求されていました。市販の自動ネジ締めユニット7台をネジ締めのポジションに配置した一体型のハンド(ツール)を、直交ロボット先端に取り付け、7つのネジを同時にピックアップしてネジ締めを行うまでの動作をさせました。課題の1つがネジの供給方法でした。

 7台のネジ供給機(ネジッコ)を使う方法もありましたが、コスト面、信頼性の面で、治具によるネジ振込方式を採用しました。振込方式とは、A3程度の板金にカバーネジ締めと同じポジションにバカ穴を7つあけて、その7つの穴を1つのパターンとして10㎜間隔で20セット計140穴をあけます。その穴があいた治具の上にばらばらのネジをばらまき、振るいをかけるとネジの首下が穴に入り、ネジ頭だけが見える状態になります。この治具のままロボットに供給します。当初、人手による振り込み作業でしたが、最終的には自動ネジ振込機を開発しました。

<ツール専用性の原則>

 HDD専用のカバーネジ締め機で、機種が変わればネジ締めの位置も変わるため、ツールを変更する必要があります。7軸(ネジ締めの回転軸)同時にネジを締めするためには、ネジ締め過程において各軸のトルクを常に監視します。仕様トルクが変更となれば、トルクコントロールするソフトウェアの変更も必要となります。

<パーツハンドリングの原則>

 パーツとしてのネジは、ネジッコのように設備の稼働サイクル内で整列する方法とは違い、設備の外で事前に治具にセットされ、その治具を設備へ供給しています。

<機械を高速化するための原則>

 7台のネジ締めユニットを一体としたツールを、直交ロボットの先端に取り付けたため、従動部の質量が大きくなってしまい、ロボットを100%の速度で動かすことができませんでした。

 以上より本ネジ締め機は、3つの原則の内、機械(ロボット)の高速化においては成立することができませんでしたが、同時作業により短時間にHDDカバーのネジ締めを完了することが出来ました。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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