390工場のIOT(データの収集)

 多くの工場では、ものづくりの普遍のテーマであるQCD-ESをその都度その都度目標を定めて、その目標の達成に向かって日々活動していると思います。大手中小企業の関係なく改善の継続と、世の中の流れの大きな変化に合わせるため、時としては革新的な動きをしなければならないと思います。TPS、IT化、自動化、IOT、AI化、そしてその結果としてスマート工場が見えてくるのだと思います。スマート工場では、予兆、予測に基づいてPDCAを回すことになります。そこで使われるデータの種類、本質のよしあしが、スマート工場のよしあしを決めることになります。IOTで収集されるデータの特徴と課題についてタイプ別にまとめてみました。

 ①直接データ収集タイプ:従来、温度、圧力、電流などの計測は、各物理量をセンシングしてアナログメーター(針メーター、フロートメーター、7セグメーター)などに表示して、それを作業者が1日1回程度読み取り、グラフ、表に転記することが多かったと思います。データのリッチ化を図るために、デジタルメーターに交換し、計測されたデータをPLCへ転送し、ゲートウェイを通して、データベースに格納することで、数分に1回程度のサンプリングレートでデータを収集することができます。課題は、工場内にある多くのメーターを交換するために、工場の稼働を停める必要がある点と、計測する物理量にあった専用の計測機が必要になる点です。

 ②間接データ収集タイプ:従来使用していたアナログメーターはそのままで、アナログメーターの針や表示をカメラで読み取り同時にデジタル化し、そのデータをネット経由でデータベースへ格納する方法です。現場のラインを停止させることなく、また、物理量の違い、メーターの違いに左右されずにデータを収集することができます。課題は、カメラで撮影するため、照明や振動などの外乱を抑えなければならない点、またはノイズフィルターを通してからでデータベースへ格納する必要がある点です。

 ③アウトプットのデータ収集タイプ:良品として最終検査工程を通ったアウトプットの結果のデータで、OK/NGの判定結果だけでなく、判定項目のばらつき量やオフセット量などを収集します。さらにそのデータをさらにもう1段階分析した結果(例えば周波数分析結果など)をデータとして使うことができます。課題は、破壊検査にならないように、工夫する必要がある点です。

 ①、②は品質に影響を与える要因データで、予兆、予測分析において説明変数として扱われるものです。③は品質に影響を与えられて結果のデータで、目的変数として扱われます。この両者のデータ品質がスマート工場の実現に向けて決めてとなります。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

ものづくりの普遍のテーマに取り組んできた生産技術者の備忘録です。 スマート工場に向けた自動化、IOT、AIの活用について記載しています。 ご相談は下記のシマムラ技術士事務所へ。 It describes Automation and IoT/AI for smart factories. For consultation, please contact the following office.

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