381データ収集の取り組み(ツール)

 旧式設備のデータ活用について、技術情報協会の書籍にビジネスエンジニアリング㈱志村健二氏の「IOT・AI導入工場における古い設備のデータを活用する方法」という記事が掲載されています。ここではその1部を取り上げて、自らの経験に基づいた見解を記したいと思います。

<記事抜粋>

 前項にて、3つの課題について述べた。古い設備・機械のデジタル化の課題を解決できないと、近い将来、安定で効率的な生産活動が困難になることは指摘した通りである。その解決方法について述べることにする。

 ①信号灯を活用:ネットワークに接続する機能や機構が備わっていない古い設備・機械でも、「信号灯」は設置されていることが多い。信号等は通常、3色(赤色、黄色、緑色)が点灯、点滅することができ、これらの組み合わせで機械の状態を知らせることができる。~中略~例えば、緑色の時間をデータとして収集できれば、正常に稼働していた時間を把握することができ、赤色であれば故障していた時間を把握することができる。機械の状態を知らせる信号灯を機械の状態を測るための役割に変更させようという考えである。

 ②クランプセンサーを活用:~前略~古い機械でもNCなどの制御盤があり、その蓋を開けると沢山の配線があり、それぞれは機械の状態や状況を伝えるための電気信号が導通している。その配線を囲うようにクランプセンサーを取り付け、配線内の電流が発生する磁界を検知することで、電流のON/OFFを検知することを可能としている。~後略~

 ③画像処理を活用:アナログメータをカメラで撮影し、画像を処理することで、指示値を取得するソリューションがある。AIによる画像認識精度が向上しており、また、カメラエッジコンピューティング技術を搭載し、カメラ側で指示値を割り出し、画像データでなく数値データを送信できる。~中略~ ただし、1カメラで1メーターを読むことになるので、費用対効果の点でよく考えなければならない。~後略~

<ユースケース>

 プロセス系は旧式の設備でものづくりを継続している工場が多いと思います。投資の回収が済んでいる点、それなりに安定稼働している点を考えると、新規設備を導入してまで取り組むには至らないのでしょうか。したがって、いわゆるレトロフィット技術を使ってIOT AI化するのは自然の流れだと思います。

 ①に関しては多くのメーカーが製品化しており、手軽に導入できると思います。機械のトータルの状態を3段階で把握することができますが、温度、圧力、電流など具体的な状態の計測をすることはできません。原因を追究するデータとしては不十分だと思います。

 ②に関しては、かつて前職場の生産技術部門において活用したことがあります。その時は、はんだリフロー炉の電力消費量を如何に削減するかといったエネルギ―対策がテーマとなっていました。リフロー炉の電流をクリップセンサーで検出し電力として見える化を行いました。生産に影響しない範囲で対策を行うことで、大きな効果を得ることができたと記憶しています。

 ③に関しては、以前本ブログで何回か紹介したAMR(Analog Meter Recognizer)がこれに当たります。AMRは旧式設備のアナログメータをカメラで撮影し、デジタルデータ化して出力します。それがどのメーカーの円形針メータであっても、7セグ表示器であっても、フロートメーターであっても読み取ることが出来ます。また、1カメラで複数メーターを読むことができます。但し、カメラでメータを撮影しなければいけないので、工場の環境(照明の変化や振動などによるノイズ成分)に対して工夫する必要があるなどの課題はあります。

 以上、いずれも旧設備を活用したデータ収集の取り組みです。中でも②③は、ライン停止させることなく、メーカー、機種に依存することなく取り付けることができます。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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