336リアルタイム・フィードバック・フィードフォアード

 製造分野、中でもプロセス系製造におけるデータ活用には、リアルタイム・フィードバック・フィードフォアードの3つの処理があると思います。

<リアルタイム処理>

 リアルタイム処理は、QC工程管理に基づく従来から取り組まれている一般的なデータの活用方法です。製品を製造するに当り、プロセス開発部門からの製造指示に基づいて製造部門で流し方、条件設定をします。たとえば、プリント板メッキ工程では無電解メッキと電解メッキの2つの大工程に分かれます。無電解メッキ工程では、洗浄・乾燥・メッキ化成処理を施します。ここでの管理項目は各工程の処理時間、使用する処理液の濃度、温度があります。電解工程ではさらに電流値の管理も加わります。作業者は指示された管理値になっているか常に製造設備のアナログメータのデータを監視して、チューニングを行います。

 この処理は、製品の最終歩留まりを意識することなく、各工程が管理値内にあること(必要な工程能力があること)が求められます。同一製品を大量に流し製造方法が確立している場合に有効に機能します。一方で、新機種投入時や機種切り替え時においては、立ち上げ時の条件が確立していない場合が多く、最終製品歩留まりが目標値に達するまでにかなりの時間を必要とします。

<フィードバック処理>

 最終製品の歩留りを見ながら、各製造工程の条件を設定する処理がフィードバックです。数100を超える管理項目をバランスよく立ち上げるためには、重要工程の管理項目を重点的に管理したり、優先順位を付けて管理したりする必要があると思います。

 製品歩留まりを直接左右する検査結果のデータとその要因となる工程のデータを突き合わせてチューニングする必要があります。実現するためには、結果データと工程データの因果関係や、トレーサビリティーが求められます。

この処理は品種の切り替えが多い製造現場で有効に機能するデータの活用ですが、製造工程が長く、各工程のチューニング結果が適切であったかどうかを判断するまでのリードタイムが長い場合は、フィードフォアード処理を併せて活用します。

<フィードフォアード処理>

 過去の製造工程のデータ、歩留まりのデータを機械学習させて、歩留まり予測モデルを作成します。リアルデータを予測モデルにインプットし、最終歩留まりを予測し、そのデータを使ってチューニングする方法です。課題はその予測精度の向上です。予測精度向上には、必要なデータを必要な量、高い品質で収集することが大切です。このことは、リアルタイム・フィードバック・フィードフォアードのいずれの処理においても共通に言えることです。IoT技術が求められる理由がここにあります。

SHIMAMURA ENGINEERING OFFICE

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